第7話 嫌いじゃないわ
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た手にその腕を掴まれた。
「何だよ?金は良いぞ?お前の分も俺の奢りだ。だって、お前、大古の友達だろ?友達は選んだ方が良いと思うけd……」
「ふざけんなァー!」
勝俣の方を振り返りつつ軽口を叩いた小倉に、勝俣の怒鳴り声が叩きつけられる。いきなりの大声が頭の中にまで響いてくるようで、小倉は顔をしかめた。
「何を余計な事してんだよ!俺はな、自分から進んで、あの貧乏人どもに恵んでやってんだ!何余計な事してんだよ!お前が余計な事したせいでなぁ、何か俺、虐められてるみてえになっちまっただろうがァ!おい、どうしてくれるんだよォ!」
「おい、落ち着けよ。そんなに皆、お前のことなんて注意して見てないって……」
「うるさい!うるさーい!」
ヒステリックに叫びながら、勝俣は小倉に突進する。小倉は自分を掴む勝俣の手を払って、身を翻し、その勢いを受け流した。勝俣は廊下に向かって、無様にヘッドスライディングをかます。巨体がズデーンと転げる姿は、まるでトドのようであり、小倉の理解の斜め上をいくプライドの発露もあいまって、それはもう、ただただ醜かった。
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「じゃ、俺ちょっと便所行ってくるから、謙之介と紫穂はここで待っててくれよ!」
「さっさと行ってこい。ただでさえ、道草食いすぎてんだから」
「…………」
9月も末になり、文化祭の時期になっている。クラスで出店する模擬店の内装やそれを組み立てるのに使用する小道具などを買い揃える為に、田中と小倉、そして高田は学校の近くの百貨店に来ていた。模擬店に関しては田中がメニューから内装から宣伝の仕方まで、全てにおいて指揮をとっており(田中が作ったプランは完成度が高く、コストパフォーマンスにも考慮が行き届いたものだったが、ただイケメンの田中が言うだけで、学校行事の中心になる女子達が無批判の賛成を表明するので、恐らくどんな滅茶苦茶なプランでもクラス会の議決を通ってはいただろう)、その権限で小倉と高田を買い物に連れ出したのだった。文化祭の準備の為、とは言いながら、田中は寄り道を繰り返し、傍目からはこの三人で遊んでいるだけと思われても仕方ない有様だった。両手に荷物を抱えた小倉は、ため息をつきながらベンチに座る。その隣に、高田もチョコンと座った。
「……」
高田は寄り道した雑貨で買った、絵葉書をしげしげと見つめている。どうにも生活感がない無表情な小娘なのだが、実はこれが趣味だったりするのかと小倉はぼんやり思った。絵葉書、か。らしいかもしれない。高田が他の女子高生みたく、カワイイものに目がないとは思えないし。
「……また、大古くんに絡んでいったわね」
突然言われて
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