偏に、彼に祝福を。
第一章
六話 中禅寺湖の畔
[1/5]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
光、拓海、美世との慰安旅行を終えてから一週間後、私の次のグループとまた慰安旅行に行った。ちひろさんが担当したグループは全て終えているので、事務所としても最後の慰安旅行だ。
今回は前回のように新幹線ではなく、私が社用車を出しての二泊三日だった。行き先は群馬、中禅寺湖の畔の旅館だ。行くメンバーは……。
「お早うございます達也さん! 宜しくお願いしますね!」
「宜しくお願いします」
「宜しくお願いする」
青木慶、明、麗の三人が社用車に乗り込んできた。何でもアイドルから話が流れたとか。いや流れて何故同伴しようと思うのか、その精神が理解できないが、今後の円滑なコミュニケーションや贔屓にしてもらう云々を頭で考えて結局断らず彼女たちも連れて行く事にしたのだ。トレーナー達を除いて、連れて行くアイドルは岡崎泰葉と水本ゆかり。この面子に意味はあるだろうが、今は考えないことにした。
泰葉とゆかりが搭乗するのを待って、車を出した。助手席は麗さん、後ろには明と慶、更に後ろには泰葉とゆかり。
出発は午前十時、途中SAで昼食も取りながら十五時前には目的の旅館に着いた。チェックイン諸々を済ませて、一度私の部屋に全員集まった。
「これからどこに行こうか?」
「あれ、達也さんノープランなんですか?」
投げかけた質問に、慶が質問で返してきた。
「ある程度は調べてはいるよ。ただ、どこに行きたいかは任せる。今日はもう遅いから遠くには行けないけど、明日は朝から行けるから距離がある草津とかに行きたいなら早めに決めておこう」
私の言葉に、予め渡しておいたガイドブックを広げ泰葉とゆかりは二人で考え始めた。
「日光何てどうです?」
「いいかもしれないな。雪化粧の東照宮も乙だろう」
明の言葉に頷く。
「尾瀬沼はどうだ?」
麗さんの言葉に尾瀬沼を思い出す。水芭蕉の季節が一番いいが、それ以外の時も楽しめないものではない。だが。
「雪がある今だと、長時間歩くのは難しいですね」
「なぁ達也くん」
声がワントーン落ちた麗さんは、顔をこちらにつきだした。
「何でしょう麗さん」
「ちょっと来い」
彼女に廊下に連れだされた。
「私に対してだけ敬語だな」
「年上ですし」
間髪入れず答える。性格的にもフランクに話すような相手じゃない、何てことは面と向かっては流石に言えない。
「だからどうした! 妹達は私にタメ口だ。ゆかりと泰葉は敬語だが、かなり砕けた物言いだ。それなのに君はまるで上司とでも話すように私と接する! 君に直接言うのも何だが疎外感を感じるよ」
彼女の意外な台詞に面食らった私は暫し黙った。
「それともあれか、君は私が苦手か? そうであるならそう言って貰いたい。何怒ることもない。万人に好かれるような性格をしてるなんて私自身これっぽっちも思って
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ