陰に潜む“影”
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いらないぞ」
絶賛遠慮したいだろう好意を受けて、教室の男子生徒達は一斉に教科書を広げた。シャープペンシルを構え、ノートに手を掛ける彼等の気迫は受験生のソレである。
……例外として、総二はぽかんとしたまま姿勢正しく座っており、瀧馬はラフにダラーっと座って教科書を置いただけで開いてはいない。
「嫌だっ……俺はテイルレッドたんと結婚するんだ……婚姻届なんて見ただけでも彼女が悲しむ!」
そんな事は未来永劫何があろうと、どんな軌跡が起ころうとも有り得ないから安心して欲しい。
「コレは試練か……テイルレッドたんへの愛だけは一丁前で、他は何も無く不釣り合いだからと……ならばやってやる、学年主席を目指すまでだ!」
愛が一丁前かの判断はそれこそ人によるだろうし、そもそも彼は教室中最も成績が悪く学園の中でも下位なので、主席になるなら他すべてを……テイルレッドも捨てるほど努力しなければならない。
「念の為だ、愛する妻の為に俺も婚姻届を書いておくか……妻の名前は、テイルレッド」
まだ年齢が全然足りないので卒業せねば婚姻届は受け取れないし、そもそも書いた所で相手が受け入れてくれるかどうかは分からない……。いや、絶対に拒絶される結末は見えている。
そんな暗黒空間を作り出している彼等を見て、芳しくないと思ったか桜川先生は愛香へニヒルな笑みを送ってから、樽井担任を引き連れる形で教室を出て行った。
「全生徒分あるとか言っていたな……もしや物色してるのか?」
『そうなんだろうなきット。表にゃ出してなかったガ、大分焦ってたみてぇダシ』
「……男にとっても関係ない話ではなさそうだが……今は、関係ないか」
『無いにも程があルナ。当分はこっちに来ないと良いけドヨ』
ラースと会話を交わしながら、余計に混沌とし始めた学園に対し、瀧馬は末期も地獄も通り越したかと言わんばかりの表情をして、教科書の上に静かに頭を置いて、再び寝始めたのであった。
……授業が始まる前から寝る気満々とは、やっぱり余計な所で豪胆であった。
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時を同じくして、アルティメギル基地。
リヴァイアギルディとクラーケギルディの部隊を迎える為に艦隊搬入口へ向かっているスパロウギルディは、背後から突いてくるスワンギルディへ顔を傾けぬまま焦燥感のある声を投げかける。
「兎にも角にも、一部隊でも強い彼等が手を取り合ってくれれば……いや、条件付きでも協力してくれれば、正に鬼に金棒虎に翼だ」
「はい、その為にも我らが橋渡しをせねばならないのですね」
「うむ……素直に従ってく
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