陰に潜む“影”
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上がる場面の筈なのに、生徒達は一切合切言葉を発さず教室はシーンとしている。
トゥアールや桜川教員の空気とペースに巻き込まれたくない為であろう。普段から人としての尊厳が終わる行動を幾度となく実行し、変態街道を突っ走る者達だったとしても、こういった時での保身をしておきたいのだ。
例え別の意味でもう手遅れでも。
「むむ? かなり熱い視線を感じるが……おお! 確か君は観束君だったか!」
「へっ? ……あっ!?」
総二はどこか上の空で目の前で行われるやり取りを見てたのだが、桜川教員は髪型を少し上側で結ばれたツインテールにしており、恐らく無意識のうちにそこへと視線を送っていたのだ。
この人もこの人で不安になる。将来大丈夫なんだろうか。
「いや、俺はその……」
「せんせーい。観束君は大のツインテール好きなんでーす」
「あ」
注意がいったのをコレ幸にと、自分達からより注意をそらすために、総二は名も知らないクラスメイトに周知に事実を改めて密告された。
……ちなみに、瀧馬はまだ寝ている。連絡無しの早退といい、要らない所で豪胆な奴である。
「そうかそうか! ならちょうどいいな、ツインテール好きな君にはこれを上げよ――――ん?」
そこで漸く寝ている瀧馬に気が付いたか、彼の方を強めに叩いて起こした。
「起きろ!」
「うぐっ? ……む?」
『ヨオ、起きたか相棒。早速状況説明すルゼ』
「常識のなっていない奴だな……と、それは兎も角観束君、そして寝ていた君にもこれをやる」
そういいながら桜川教員は、総二と瀧馬の机にA6サイズ程の封筒を置いた。写真か何かでも入っているのかと総二は普通に、瀧馬はラースからの状況説明を受けながら中身を見てみると、とある一枚の紙が入っていた。
「あのー、コレ婚姻届って書いてあるんですけど」
「読みに自信がないのか? 大丈夫だそれで読み方はあっている」
「……」
「いやあの、妻の欄に先生の名前が書いてあるんですが……」
「当たり前だ。夫婦侶法の名を書き記して初めて婚姻届は意味を成すのだ。書かなければ相手に失礼だろう」
「……いや、相手って! 相手って!!」
「君達だっ!!」
非常識中の非常識にも拘らず、桜川教員はそれを常識か何かの様に口にした。迷いが微量にも、一片も感じられない。
瀧馬は受け入れがたい事に直面しているのか、黙りこくっている。
「何で俺なんですか!?」
「君はツインテール好きなのだろう? 大が付く程の! なら何の問題も無い!!」
「うぇえええぇっ!?」
「……なら俺は?」
「人が自己紹介をしている時に寝るなど常識
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