陰に潜む“影”
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全く成立していないのが見て取れた。
トゥアールは黒板まで迷いなく増すぐ歩いて行くと、白チョークで大きく文字を書きだし、『観束トゥアール』とかかれたのを見て、クラス中の視線が総二へと集まり俄かにざわつき始める。
……それと同時に、涎を垂らしてニヤケ、第一印象をわずか数秒で覆してくれた。
「……一体何にニヤケてんだあいつは……」
『サーナ、分かんねってか分かりたかねェナ』
奇異の視線を一身に受けている総二はというと、テイルレッドで慣れているのか案外平然としている。
確かに、普段のテイルレッドを信仰するファン、もしくは変態達の好奇は異質勝つ物凄い物なので、何で同じ名字なのかというだけの意味しか持たない視線では、流石に動揺できなくなっているのだろう。
もう用事は無いと判断したか、瀧馬は頭の中の靄を取り払うべく、机に突っ伏して寝始めた。
「トゥアールさんはぁ、観束君の親戚で海外から越してきて〜……あ、あと今は一緒に住んでいるそうで〜す」
適当に終わったトゥアールの紹介だが、ホームステイというのは別段普通にある話なので、皆納得してざわめきを徐々に止ませていく。
……が、普通は何で名字を一緒にしたのか、海外から来たなら違うモノがあるだろうにと、納得は出来ず疑問を抱く所だが、この教室内の人物にそう思う物はおらず、肝心の瀧馬は既に寝付いていた。
あっという間に終わった事が予想外だったか数秒フリーズしたトゥアールは、焦りながら樽井担任へと詰め寄る。
「ちょ、ちょっと待って下さいよ先生!? 総二様との関係を問われた所で、一つ屋根の下の住んでいる事をぼかしながらも暴露し、誤解が広まった所で種を明かすつもりだったんですよ!?」
「……」
『ナーニ考えてんのかねあの嬢ちゃんハヨ……ってか相棒寝るの早イナ』
いびきもたてず静かに寝ている瀧馬に言及する者はおらず、担任ですらスルーしてトゥアールの詰め寄りを回避しながら悪びれも無く言った。
「ごめんなさいね〜、でも余り時間を割けないんですよぉ……もう一方紹介しなきゃいけないですからね〜」
「ええっ!?」
コレまた想定外だったかオーバーリアクションも取らず素で驚くトゥアール。その驚愕の叫びとほぼ同時に扉が開けられ入ってきたのは―――――
「本日から体育教師として赴任されます、桜川尊先生で〜す」
「始めまして! これから宜しく!」
昨日瀧馬がであった神堂の後ろに居た護衛……即ち、メイド服姿の女性だった。無論、今もメイド服姿だ。
しかも彼女は常日頃から神堂の傍に居るので知っている人は意外と多く、服装
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