第2部 風のアルビオン
第8章 ニューカッスルの決戦前夜
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ると、ルイズはウルキオラの胸に顔を押し当て、ごしごしと顔を押し付けた。
ウルキオラは急にルイズに抱きつかれたので、驚いた。
「俺の服で涙を拭くな」
ウルキオラの言葉を無視し……正確には耳に入っていないのだが、ルイズは泣きながら言った。
「いやだわ……、あの人たち……、どうして、どうして死を選ぶの?わけわかんない。姫様が逃げてって言ってるのに……、恋人が逃げてって言ってるのに、どうしてウェールズ皇太子は死を選ぶの?」
「おそらく、アンリエッタを守るためだろう」
「え?」
ルイズはウルキオラの胸から顔を離し、弱々しい声でウルキオラに言った。
「わからないのか?」
「うん…なんでよ」
ルイズは再びウルキオラの胸に顔を埋めた。
「ウェールズがトリステインに亡命すれば、それは『レコン・キスタ』がトリステインに攻め入る大義を得た事になる。そうなれば、トリステインは『レコン・キスタ』との戦争を避けるのは困難だ。それに、アンリエッタがウェールズに亡命を勧めたとなれば、ゲルマニアとの同盟も果たせん。つまり、ウェールズはアンリエッタを救うために、死を選んだのだ」
ウルキオラは、俺には到底理解しがたいことだがな、と付け加えて言った。
ルイズはそれでも、納得したのか、涙ながらに言った。
「本当にそうなら、悲しすぎるわ」
ルイズはウルキオラの胸から頭を上げた。
「お前の仕事はウェールズとアンリエッタの境遇を悲しむことじゃない」
「わかってる…わかってる」
ルイズは、ぽつりと呟いた。
「わかったら寝ろ。明日は早い」
ウルキオラはそういって部屋に入っていった。
窓から差し込む月明かりが、ルイズの髪をキラキラと輝かせていた。
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