第2部 風のアルビオン
第8章 ニューカッスルの決戦前夜
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は驚いた顔から、徐々に笑顔になる。
「は、はは…お、驚いた…今までで一番驚いた…まさか、そのような種族が存在するとは…しかも、元は人間…驚いた!」
ウェールズは大声で笑いながら続けた。
「そうか、そうか、なるほど、なるほどこれであれ程の魔力を…あれも虚…とやらの力なのかい?」
「そうだ」
ウルキオラは表情を変えずに言った。
ウェールズは、笑うのをやめると、真剣な顔つきになって、言った。
「先ほどまで、ワルド子爵殿にアンリエッタへの伝言を頼もうと思っていたが、やめた!君にお願いしよう…引き受けてくれるかい?」
「ああ、言ってみろ」
ウルキオラは自分に怯えないウェールズの態度を見て、引き受けることにした。
「ウェールズは、勇敢に戦い、勇敢に死んでいったと、そう伝えてくれ。頼んだぞ、虚のウルキオラ殿」
「わかった」
それだけ言うと、ウェールズは再び座の中心に入っていった。
残されたウルキオラは、これ以上ここにいるつもりもなくなって、近くにいた給仕に、部屋の場所を尋ねた。
そうしていると、後ろから肩を叩かれた。
振り向くと、ワルドが立って、ウルキオラをじっと見つめている。
「君に言っておかねばならないことがある」
ワルドは冷たい声で言った。
「なんだ?」
「明日、僕とルイズはここで結婚式を挙げる」
ウルキオラは怪訝に思った。
「こんな時に、こんな場所でか?」
「是非とも、僕たちの婚姻の媒酌を、あの勇敢なウェールズ皇太子にお願いしたくなってね。皇太子も、快く引き受けてくれた。決戦の前に、僕たちは式を挙げる」
「そうか…それで、何故それを俺に報告する?」
「君も出席するかどうか聞きたくてね」
ワルドが言った。
「俺が人間の結婚式に出ると思うか?勝手にやれ。俺は部屋で待機している」
「そうか、わかった。しかし、いいのかい?ルイズは君の主人だろ?」
ワルドはウルキオラの冷たすぎる応対に疑問を持った。
「俺は使い魔だ。それ以上でも、それ以外でもない」
ウルキオラはそういって、部屋に向かった。
ワルドは小声で言った。
「感情がない奴だな」
ウルキオラは、真っ暗な廊下を歩いていた。
廊下の途中に、窓が開いていて、月が見えた。
月を見て、1人涙ぐんでいる少女がいた。
長い、桃色がかったブロンドの髪……。
白い頬に涙が伝っていた。
ついと、ルイズは振り向いた。
ウルキオラに気づき、目頭をごしごしと拭った。
拭ったけど、ルイズの顔は再びふにゃっと崩れた。
「何故泣いている?」
ウルキオラはルイズに尋ねた。
す
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