第2部 風のアルビオン
第8章 ニューカッスルの決戦前夜
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爵殿」
「恐れながら、殿下にお願いしたい議がございます」
「なんなりと伺おう」
ワルドはウェールズに、自分の願いを語って聞かせた。
ウェールズはにっこりと笑った。
「なんともめでたい話ではないか。喜んでそのお役目を引き受けよう」
パーティーは、城のホームで行われた。
簡易の玉座が置かれ、王座にはアルビオンの王、年老いたジェームズ1世が、腰掛け、集まった貴族や臣下を目を細めて見守っていた。
明日で自分たちは滅びるというのに、随分と華やかなパーティーであった。
王党派の貴族たちはまるで園遊会のように着飾り、テーブルの上にはこの日のためにとって置かれた、様々なご馳走が並んでいる。
ウルキオラ達は、会場の隅に立って、この華やかなパーティーを見つめていた。
「明日で死ぬというのに、随分と派手なものだな」
ウルキオラがそう言うと、ワルドが頷きながら言った。
「終わりだからこそ、ああも明るく振る舞っているのさ」
ウェールズが現れると、貴婦人達の間から、歓声が飛んだ。
若く、凛々しい王子はどこでも人気者のようだ。
彼は玉座に近づくと、父王に何か耳打ちした。
ジェームズ1世は、すくっと立ち上がろうとしたが、かなりの年であるらしく、よろけて倒れそうになった。
ホールのあちこちから、屈託のない失笑が漏れる。
「陛下!お倒れになるにはまだ早いですぞ!」
「そうですとも!せめて明日までは、お立ちになってもらわねば我々が困る!」
ジェームズ1世は、そんな軽口を気分を害した風もなく、にかっと人懐っこい笑みを浮かべた。
「あいや各々方、座っていてちと、足が痺れただけじゃ」
ウェールズが、父王に寄り添うようにして立ち、その体を支えた。
陛下がこほんと軽く咳をすると、ホールの貴族、貴婦人が、一斉に直立した。
「諸君。忠勇なる臣下の諸君に告げる。いよいよ明日、このニューカッスルの城に立てこもった我ら王軍に反乱軍『レコン・キスタ』の総攻撃が行われる。この無能な王に、諸君らはよく従い、よく戦ってくれた。しかしながら、明日の戦いはもう、戦いではない。おそらく一方的な虐殺となるであろう。朕は忠勇な諸君らが、傷つき、斃れるのを見るに忍びない」
老いたる王は、ごほごほと咳をすると、再び言葉を続けた。
「従って、朕は諸君らに暇を与える。長年、よくぞこの王に付き従ってくれた。厚く礼を述べるぞ。明日の朝、巡洋艦『イーグル』号が、女子供を乗せてここを離れる。諸君らも、この艦に乗り、この忌まわしき大陸を離れるがよい」
しかし、誰も返事をしない。
1人の貴族が、大声で王に告げた。
「陛下!我らはただ1つの命令をお待ちしております。
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