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FOOLのアルカニスト
半端者と異端者
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ているといっていいだろう。年齢にそぐわぬ高い知能、常人を遥かに超えた身体能力、悪魔と同様の魔法を操る『ペルソナ』という異能、常人とはかけ離れた魂。最早、少年は純粋な人間とは言い難い。

 「そうじゃろうなあ。というかあの強大な魂……何者じゃ?生体マグネタイトの量も異常じゃし、ただの人間とはとても言えんのう」

 「あの施設ではすでに90人もの死者が出ています。覚醒時にそれが何らかの作用を引き起こしたとしても、不思議はありません」

 「なるほど、ありそうな話だ。まあ、何にせよ、あのガキは爆弾みたいなもんだ。それもいつ爆発するかもわからない最悪の危険物だ。ここに缶詰にしときゃいいと思ったが、あの様子じゃそれは無理なようだしな。追っ手やあのガキ自身の能力のことを考えれば、普通の生活は不可能だし、組織にばれる可能性を考えると、迂闊に放り出すわけにもいかねえ。
 さて、どうしたもんかね?」

 自分が選んだこととはいえ、とんだ厄介をしょいこんだもんだとと嘆息する卜部。

 「力を求める傾向はいささか心配ではありますが、適当な師をつければよいのではないしょうか?」

 「ふむ、悪くない案じゃと思うわい。良き師は良き弟子を育てる。本人のやる気も十分のようじゃし、なんぞ心あたりはないのか?サマナー」

 「師ねー……。口が堅くてあんな厄介なガキを育ててくれる、そんな都合のいい奴いたかね?……うん、いや、待てよ」

 「心あたりがあるのか、サマナー」

 「ああ、一人いたわ。とてもじゃないが良い師とは言えないだろうが、口が堅いというかばれにくいのは間違いない。それでいて、あのガキみたいな外れた奴が大好きな性格破綻者が……」

 凄まじく嫌な顔をして、卜部は答えた。

 「それはどのような方なんですか?」

 「……頑固者の糞爺さ。あまりにも頑固すぎて人から外れちまうような偏屈なな」

 透真のあずかり知らぬところで、彼の今後は決められていたのだった。





 「どうした?立て、立たんと殺すぞ。お前は、まだ今日のノルマをこなしていないのだからな。できん以上殺すぞ?」

 何の躊躇もなく倒れている少年の顔を踏みに行く翁。

 「この糞爺が!」

 それを転がることで、すんでのところでかわして、起き上がる徹。とはいえ、どうにか立ち上がったものの、その身はすでに満身創痍であった。

 卜部から、師を紹介してやると言われて、この翁と引き合わされたのは、一週間前のことだ。
 卜部からすれば、透真の存在を誤魔化しただけでも十分すぎるリスクを負っているのだ。流石にその後の面倒までみてやる義理はないし、それ以上のリスクを負うつもりもないのだから。ゆえに適当な人物に押し付けてさっさと自分は縁を切った卜部の判
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