半端者と異端者
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ることができるのは、極少数である。ほとんどの者は単純に常人の限界を超えた身体能力だったり、サマナー(COMP+悪魔召喚プログラムの登場によって、敷居が大幅に下がった)になれる程度の霊的素質を手に入れるに過ぎない。(とはいえ、このレベルに達しない者も少なくないので、十分凄いことである。また、こういった者達も厳密に言えば異能者なのだが、能力的に大きな差異がある為、ここでは区別している。)つまり、ある程度限られる『愚者』の中でも、先天的ペルソナ能力者は限定されるわけである。
第二に、たとえ先天的ペルソナ能力者であっても、卜部のような裏の世界に関わるような家に生まれたわけでもない限り、覚醒するような出来事に遭遇することはまずありえないからだ。どれくらいありえないかというと、一般人が普通に町を歩いていて、交通事故に遭う可能性より低い程だ。つまり、一般的な生活を送る常人が覚醒する可能性は限りなくゼロに近いのである。
第三にこの世界特有の『ペルソナ』の欠点がある。この世界のペルソナ能力には、原則として年齢制限があるという点である。この世界におけるペルソナ能力は、思春期にかけて発現し易く、早ければ成人遅くとも20代前半で使用が不可能になる。しかも、透真のような本体の能力を底上げする能力もなく、制御には相応の資質が必要というおまけつきだ。つまり、裏の人間から見れば、苦労して鍛え上げてもいつか使えなくなる欠陥能力というわけである。
以上のことから、裏に関わる人間の中に必然的にペルソナ能力者は少ないし、それを主力とする者など皆無に等しかったのである。
「しかし、あれだな。こいつは俺の手には負えんな……」
使えれば一応の戦力として扱おうと考えていた卜部は、早々に透真に見切りをつけた。
「そうですね。残念ながら、ウラベ様とは合わなさそうです」
「そうじゃのう。在り方が生憎とサマナーとはかけ離れすぎとるのう」
卜部広一朗は、超人でも魔人でもない。どこまでも、人間である。人を超える、いや人を逸脱する勇気は彼にはなかった。そのせいか、まだ肉体的成長限界が来るような年でもないのに、アナライズレベル25で頭打ちだ。己の力量を超えるような悪魔を使役しようともせず、悪魔で己の力量の範囲で対応してきた。その結果、戦略・戦術の幅が広がり、仲魔との絆は強固なものとなったが。卜部の純粋な意味での戦闘能力は近年全く変化していない。もっとも、LV25は十分一流といえるし、裏の世界における強さなど上を見れば際限がないのだから、悪いことではないかもしれないが。
「あのガキは躊躇わないだろうからな」
だが、視線の先にある少年は違う。復讐を目的とする少年にとって、強い力を得るためなら、人から外れることを厭わないだろう。というか、すでに人を完全に逸脱し
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