半端者と異端者
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避けるなど、人間の能力の限界を超えているからだ。ゆえに、銃弾を避けるには、撃たれる前に避けるほかないのだ。これと同じことが悪魔の攻撃にも言える。なぜなら、低級の屍鬼であるゾンビなどの例外を除いて、常人に悪魔の攻撃を避けるなど不可能であるからだ。悪魔の身体能力は、人間など比べくもないし、魔法やその特殊能力などはそも対抗手段すら持ち合わせていない。それ以前に、愚者ですらない者は、悪魔のもつ特殊な力場により、本能的恐怖によって身動きすらできない。愚者なら、逆にこの力場で覚醒したりするのだが、ここでは詳細は割愛する。
そして、たとえ運良く覚醒できたとしても、それで悪魔と戦える程の能力を手に入れられる者は少ない。大半の者は、覚醒した能力+装備や道具などの入念な準備をもって、初めて悪魔と戦えるのだ。そこまでしても同LVの悪魔に1対1で勝つのは難しい。格下ならいざ知らず、格上など論外である。人間と悪魔にはそれ程までに差があるのが現実なのだ。
だというのに、目の前の現実はどうだろう。LV5の少年がLV20の悪魔と曲がりなりにも渡り合っている。しかも、手加減しているとはいえ、あの単独連携を使っている以上、許される範囲で本気を出しているということにほかならない。最早、常人なら百発百中であり、あれを避けるということは、すでに常人の限界を超越しているということに他ならない。つまり、間違いで欲しかったアナライズ結果は、どこまでも正しかったということだ。
「ペルソナは本体の身体にも影響を与えるとしか思えんな。ありゃあ、一種の神降ろしなのか?」
「ふむ、その可能性は高そうじゃのう。わしはペルソナという異能はよく知らぬが、あの小僧が人を超越しておることくらいは分かる」
「私も同意見です。あの子の能力は明らかにLV以上のものです。何らかの手段で能力を底上げしているのだと思われます」
「『ペルソナ』か、成人以降遅かれ早かれ失う不完全な異能だと思っていたが、大した能力じゃねえか。まさか、本体の能力の底上げ機能まであるとはな……」
卜部の評価は正しいものであったが、それは透真の『ペルソナ』能力に対してだけである。この世界における『ペルソナ』は本体の能力を底上げしたりしないし、己のLV以上のペルソナを降魔できるわけでもないからだ。この誤解は、この世界における『ペルソナ』能力者が希少であるが故だ。
この世界において、『ペルソナ』という異能が希少なのは、いくつか理由がある。 まず、第一に基本的に後天的に手に入れるものではなく、先天的なものであるという点である。覚醒する可能性がある人間『愚者』の数はけして少なくない(一学年1つのクラスに数人程度はいる)が、その中でも異能者として覚醒する者は多くない。特に魔法を使用可能とする異能に目覚め
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