半端者と異端者
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考え対抗策を見出しておく為にも必要だったからだ。
「やはり、ある程度の精神集中が必要らしいな。慣れれば話は別なのかもしれんが、現状では脅威とはいえんな」
訓練風景を冷めた目で見つめる卜部。その戦力・能力分析に余念がない。
「そうですね…、驚異的な異能だとは思いますが、現状ではウラベ様の敵ではないでしょう」
同意するのは、卜部の隣に侍る鬼女リャナンシーだ。
「ふむ、確かにのう。しかし、よくかわすものじゃ。知能が高いとはいえ、5歳の小僧とは思えんわい」
感心するように言うのは、幻魔べス。子供を守護し、多産をもたらすとされるエジプト地方の家事の神たる悪魔だが、その言葉には感心こそこもっていても、慈悲や哀れみは含まれていない。今の彼は卜部の仲魔であるからだ。
「そうだな……。実際、俺もここまで保つとは思わなかったぜ」
死なないように最大限手加減させているが、悪魔の攻撃である。その速度や威力は、人間の銃撃など比べくもないものである。ましてや成人どころか10にも満たない5歳児である。直撃すれば、死んでもおかしくはない。
だが、迫りくる死の雨を少年は巧みに避ける。傍からみると無様この上ないが、その実悪魔の攻撃全てを回避しているのだから、実に巧妙であるといえよう。
「しかし、これ程まで危険な訓練にする必要があったのですか?」
わずかに憂いを帯びた表情をして、リャナンシーは卜部に問う。
「少し確かめたいことがあってな。できれば、間違いであって欲しかったんだが……」
卜部は苦々しく呟いた。確かめたかったこと、それは透真の異常なアナライズ結果だ。LVはまだいい。前世の記憶というブーストがあるから、けしてありえないことではない。だが、能力値は別だ。GUMPについているアナライズ機能は万能とは言い難いが、サマナーや異能者、そして技術者達の血と歴史の研鑽によって作られた結晶だ。悪魔ならともかく人間の能力を測り損ねることなどまずありえない。だというのに、示されたのはLV5にしては高すぎる能力値だ。普通なら、LV10、いやLV15でもおかしくない数値である。それもただの5歳児がだ。
何かの間違いであることを祈り、戦闘訓練でそれを確かめようとしたら、悪い方向に大当たりだったというわけである。ここまで、見事に回避しつづけることもそうだが、何よりもプッツの初撃をかわしたことで、それは誤魔化しようのない事実となった。すなわち、LV5でありながら、10〜15相当の能力を持っているということの……。
漫画などでよく銃弾を見て避けるなどと表現されることがあるが、あれは大きな間違いである。正しくは、銃口の方向から、銃弾の弾道を予測し、撃たれる前に避けているといえる。そもそも、銃が撃たれてから
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