第一部 学園都市篇
断章 アカシャ年代記《Akashick-record》
??.----・error:『Nyarlathotep』W
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
うさまされてやるけど、お前は勘弁……じゃあ、またな」
『ああ じゃあ またな おぼえてろ おまえ わたしの いけにえ たりない さんにんめ』
その全てを見通して、“門番”は姿を消す。否、それは旅を終えた証。その証左に、辺りの眼達が残念を示している。
『折角の餌が』と、涎を流しながら。それでも、“他の門番”は裁定に逆らわずに見送って消えていく。
安堵と、変わり行く世界の情景。渦を巻く銀河の脳髄から離れ、懐かしく芳しき菫色のスンガクの馨りに包まれて。
『いつも みてる おまえの かげ から だから にげられない いつか おまえも ごちそうさま する』
「はいはい、後で珈琲やるから」
嚆矢は、本来在るべき世界へと帰還を果たしたのだった。
………………
…………
……
瞼を開く。薄明かりの世界の中で、ノスタルジックな蓄音機からレコードのブルースと焙煎した珈琲の香気の漂う木造の屋内で。まず感じたのは、両掌の痺れるような疼痛。元の人間の掌は、ショゴスの組織が沈着したように黒ずんでいる。
長椅子に寝そべったまま、まだ不随意の痙攣が僅かに残る掌を揉み解す。だが、明日にはこの程度なら治っているだろう。
「……やれやれ、か」
最後に拳を握り締めて、改めて開く。鈍い神経と触覚が馴染むまで、暫くは合気は無理かもしれない。
そんな事を考えた彼を覗き込んだ、影がある。
「『やれやれ』はこっちの台詞だっての、悪目立ちしやがって」
「ウワァァァ、出たな妖怪────すいません冗談ですから『原子崩し』は止めてください頭目!」
ウェーブの掛かった茶色の長髪に、釣り目の美貌。『アイテム』の頭目、麦野 沈利その人である。
「まぁいいわ、今回は手柄だったしねぇ……」
「て、手柄?」
額に青筋を、右掌の上に緑色の発光体を浮かべていた沈利だが、思い直してそれらを消しながら……ニヤリ、と笑顔を見せる。状況が全く飲み込めない嚆矢としては、悪魔の笑顔に他ならない恐ろしさだが。
「例の研究所の実験成果……上手く手に入れてきたじゃないさ」
「あ、あぁ……それですか」
体を起こして辺りを見回せば、隣のテーブルにフレンダと最愛、そしてノートパソコンで監視カメラの映像を観ている滝壺 理后の姿もある。
どうやら
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ