Act.1 〜プロローグ〜 帰郷
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いて走り去った。
「えらくあっさりいったわね…それにしても、あんな方法を使うなんてね。」
「まぁ、地元だからこれ位は出来ないと…とりあえず、下りきるよ。」
「ええ…それじゃあ行きましょっか。」
二人はそれだけ会話すると光一は秋名の山を下り切り、減速するとその先へと走ってゆく。そんなインプレッサを少し離れた所で先程のランエボに乗った、女性のドライバーは不思議そうに見送った。
「一体…誰が乗ってたんだろう…」
それだけ呟くと、彼女も秋名の山を下った。
BGM out…
その数分後、目的の場所に着いたと同時に光一が思った事…それは…
「まさかこんなに大きいチューニングショップと家が建ってるなんて…」
思わず口に出てしまうのは仕方が無かった。隣に座る永淋は得意そうな表情をしているのを考えると、まあ永淋さんだからという事で納得させて、車を備え付けてあるガレージの一つに止める。どうしてこんなに大きい場所を取れたのかは、余り突っ込まない事にした。彼は永琳の元に住み込みで働いていて、その凄さは当の昔に分かっていた。今回もその永琳によって此方に来たのだから、深くは考えなかった。
色々と想う事が有りつつも光一が車から降りると、奥から一人…高校生の様な見た目で、淡い紫色をした髪の、“ウサ耳を着けた?女子が出てくる。その姿を見ると光一は微笑み、女子は顔を少し紅くさせて微笑み返した。
「お帰りなさい、光一さん!」
「えっと…ただいま…かな、鈴仙。」
「あら、青春ね♪」
永琳は微笑ましそうに少女を見る。少女の名前は鈴仙 優曇華院 因幡という少し変わった名前で、彼女もまた永琳の元で働く一人だった。そして光一には御察しの通り少し特別な感情が有るのだが、光一はそれには気付いていない。それが彼等の日常なのだ。
「さて…そろそろ、此処に来た目的を話さなきゃいけないわね…秋名のハチロクについてね。」
そう呟く永琳がこれから話す事が、これから始まる伝説になる物語…その果てに有る夢物語を追い求めてゆく事になるのは、未だ誰も知らない。そもそもの始まりは、あの日だった。
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