Act.1 〜プロローグ〜 帰郷
[2/3]
[1]次 [9]前 最後 最初
作品小説版主題歌 SOUNDHOLIC様 〜 SPIRAL FLECTION 〜
アクセルを踏み込むと、法廷速度の60kmしか出していなかった車が瞬発的な加速を始める。それと同時に車の纏う雰囲気が変わる。暖かな雰囲気から一変、走りを求める唯一匹の孤高な虎をも想わせるその走りは、たまたま峠に居た走り屋を震撼させる。その走りは車は機械…その概念を捨てた走りで、車と一体の走りをしていた。比喩的な表現…或いは大袈裟と言うかもしれないがそれは事実なのだ。峠をあっと言う間に上り詰め、その先へと延びていく走りに魅せられない者等居ないだろう。ふと、その時光一が目の前を走る一台の車に気づいた。その車は紅い三菱のLANCER EVOLUTION VI…通称ランエボだった。何となくその車の雰囲気が自分の知る物だった為、光一は隣に居る永琳に目配せをすると、『良いわよ』と、同じく目で訴え頷いたので、心置き無く飛ばす事にした。下りに入り光一は更にアクセルを踏み込む。タコメーターは一万回転を回ると、ギアを4速から5速へ、この時の速度はおよそ220km…峠では普通出さない速度なのだが、光一は慣れた様にその速度で駆け抜ける。眼前のランエボもそれを待っていたかの様に更に速度をあげるのだが、光一のインプレッサの方が速い。直ぐにその差は縮まるのだが此処は峠…最初のコーナーに辺り、ランエボがブレーキングでフロントに荷重を掛け、テールを流す。対し光一は、アクセルを抜いてハンドルを一瞬逆に切ると直ぐに切り返し、アクセルを踏み込む。フロントが流れタイヤがインを向くとテールを綺麗に流す。そしてギアに手を置くと片手でハンドルの切り返しを行う。そしてつぎのコーナーに入ると同時に、クラッチを使わずにギアを落とす。この特異な走り方を永琳は愉しそうに見詰めている。というのもこんな走りは並の人間には出来ない、それこそ多く走ってきた者だけが立てる地位の走りなのだが、光一の年齢でそれを出しているという事には驚きだ。ランエボはインプレッサが離れない事に驚きが見えつつも、安定をした走りを見せて先へと進んでいく。そして第一、第二とセクションを抜けると光一は永琳の方を一瞬見る。
「ちょっと、此処の地元ならではの走りをするよ。」
「ええ、良いわよ…見せてみて。」
永淋も光一を信頼しているのかそれだけ告げると気分を高揚させる。舞台は五連続ヘアピン…そのヘアピンを一つ、二つと抜け三つ目…ランエボがアウトに寄りブレーキングをすると同時に、インプレッサはインに入り加速する。ギアも上がり速度は150…その速度ではオーバースピードなのだが、それでも光一はその速度のまま減速せずにそのままコーナーのインへ車体を向ける。瞬間、ガコッと音がして車体が傾くと、その速度を維持したままそのヘアピンを抜けきり、華麗にそのランエボを置
[1]次 [9]前 最後 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ