十三話:拉致されました
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言って自分は悪魔なのに人間である彼にこうもあっさりと負けるのは悔しい。
だからかな……経験の差だと言う彼に少し言い返したくなったのは
そして、聞いてみた戦ってきた理由。
復讐の為に闘ってきた自分が他人より優しい道を歩いてきたはずがない。
心の中にそんな気持ちがあったのだと思う。
だから、自分を正当化する理由を探すために同じような理由を彼に求めた。
でも返ってきた答えは僕の物とは真逆だった。
――守る為――
誰かを傷つけるためではなく、誰かを守る為。
そんな綺麗な理由だった……いや、言葉通りに受け取ればの話かな?
どうしてかって?
………それを話す彼の目はとてもじゃないけど優しい物じゃなかった。
あの女の堕天使を脅す時に一瞬だけ見せたような闇を覗かせる目……
守ると言う額縁通りの言葉からは決して辿り着かないであろう
普段の彼からは想像できないような、残酷な目。
それにあっけにとられていた僕だったけど直ぐにその目は消え失せていて
代わりにどこか遠くを見ているような空虚な目だけがあった。
そして彼が言った言葉
『それが無い今は……俺はなんのために戦うんだろうな?』
それは彼が守りたかったものがこの世界にはもうないということ
自分の役目を果たしてその先を見出せなくなったということ
……彼が守りたかったものを守り通せたのかは分からない
ただ……復讐を果たした後の僕もあれと同じ目になるのではないかと思わせた。
君は……一体どんな人生を歩んできたんだい? ルドガー君。
Sideout木場祐斗
初日の修行も無事に終えた俺達はその日の疲れをいやすために夕食をとることにした。
作ったのは勿論俺だ、朱乃さんとアーシアに手伝おうかと言われたけど断っておいた。
七人作るのも八人作るのも大して変わらないからな。
前の旅の時にもう慣れたよ。
「さて…みんな、俺の料理はどうだ?」
「……美味しいわ、凄く美味しいわ。ただ―――どうして全部の調理が赤く染まってるのかしら!?」
「トマトを使ったからですけど何か?」
部長の叫びにドヤ顔でそう言い返す。
トマトを使えば料理が赤くなるなんて当然のことだろう?
みんなは何を引いているのか。
「これをするために私達の手伝いはいらないと言ったのですわね……」
「はうう、凄く美味しいです!ルドガーさん」
いつもの笑顔はどこにいったのか何やら悟ったように溜息をつく朱乃さんに
尊敬の眼差しで俺を見つめてくれるアーシア。
やっぱり、アーシアは天使だな。異論は認めません。
「ルドガー君……このラーメンって……」
「トマトをふんだんに使った『トマトマラーメン』だ、祐斗」
「ラーメンを作れることよりもトマ
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