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青い春を生きる君たちへ
第6話 無意味
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から驚きの声が漏れる。野手も、他の部活の生徒も、皆驚きの表情で小倉を見ていた。ただ、打たれた本人の保坂だけが、やっぱりかとでも言いたげな苦笑いを浮かべていた。


「すげーじゃん、謙之介!俺あんな飛んだホームラン初めて見たよ!」


ベンチから田中が興奮気味に飛び出してくる。まあ、こいつは常に興奮状態みたいなもんなのだが。小倉はヘルメットを取り、額の汗を拭いながら、俯き加減にマウンドを降りてくる保坂に言った。


「……球速は130ちょっとか。そこそこ伸びのある、悪くないストレートだったぞ。十分打ち取れる球だと思う。……それ以上に良い変化球が一つ、あればだけどな。」
「……敵わんな。一球前のスライダーをファウルにしたのは」
「わざとだよ。お前の全力投球を打ちたかったからな。」


あっさりと言ってのけた小倉に、保坂は肩を落とした。つまり、小倉は保坂の一番良い球と勝負しようとして、その結果としてホームランを打ったというわけなのだ。その気になれば一球前のスライダーも打てていただろう。しかしそれをしなかった。完膚なきまでに、叩き潰す為に。

ふと小倉の頭の中を、高田の言葉がよぎった。勝てると分かってる勝負を選んで、相手を叩くことを楽しむのは卑怯、だと。いや、違う。小倉は否定した。野球に絶対なんてない。最後のフルスイングがポップフライになる可能性も、十分あった。自分がやったのはイジメではなく、勝負だったはずだ。その証拠に、今は、勝てて結構嬉しい。


「なあ」
「なんだよ」
「もう一回!今度はバッターとして勝負させてくれ!ピッチャーとしては負けたが、まだバッターとしては負けて……」
「悪い。もう上がらねえんだよ、この肩。その勝負は、受けてやりたくても、本当の本当に無理なんだ。諦めてくれ。」


食い下がってくる保坂を、小倉は自分の右肩を回して受け流した。ちょっと回しただけなのに、痛みこそしないが、思うように動かせない違和感が残る。せいぜいできるのは、ゆっくりとしたキャッチボール程度。ピッチャーなんて到底無理だった。


「そんな……だから、甲洋辞めて、ウチなんかに転校してきたのか。もう投げられないから。」
「……よく俺の進学先まで知ってたもんだ。本当に、大敗がショックだったんだな。ま、そんなところだよ。そういう事にしておこう。今となっては、甲子園なんて夢、見る事すらままならねえポンコツさ。」


甲洋高校。小倉は久しぶりに、「前の学校」の名前を聞いた。自分ではわざわざ口に出す事は無いし、心の中でつぶやく事すらしなかった。関西の、甲子園常連校。輝かしい実績を誇り、数々のプロ野球選手を世に送り出した、日本野球史にもちょこっと名前は載るくらいの、その程度の学校。そして、小倉の、憧れの高校だった。今はもう、過去
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