暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン もう一人の主人公の物語
■■インフィニティ・モーメント編 主人公:ミドリ■■
壊れた世界◆自己の非同一性
第五十五話 シノンが目指すもの
[1/5]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「居合行きます、サポートお願いします!」
「りょーかい!」
 イワンが刀を鞘に戻し、前傾姿勢を取った。居合スキル初動モーション中は防御ができず被ダメージが上昇するため、ストレアが大剣スキルで敵のタゲを取る。ストレアの攻撃が二段ヒットし、敵がのけぞったのを見計らってミドリが盾を割りこませた。シルドバッシュで更に敵の態勢を崩す。その瞬間、イワンが居合スキルを発動させた。目にも留まらぬ速さで七メートルほどの距離を一瞬で駆け抜け、敵の首元を一気に切り裂く。五割ほど残されていたHPががくんと減り、残り一割ほどまで削りとる。そこへシノンがスキルを伴わない通常攻撃をヒットさせると、弱点を非常に正確に突いたその一撃がとどめとなり、敵は音を立てて砕け散った。

「援護お願い!」
 戦闘終了、と一息つこうとした彼らをシノンの叫び声が呼び止めた。あわてて振り返ると、シノンは背後から奇襲してきた敵と短剣で応戦しているところだ。弓で追撃した直後だというのにこの切り替えの速さは流石と言うべきだろう。敏捷性に優れるミドリがすかさず前に出てタゲを取るが、シノンはそのまま前衛で戦闘を続けるつもりらしく、敵の背後に回りこんで短剣技の初動モーションを取った。
 イワンが居合系の突進技で長距離を埋め、強攻撃を叩き込んだ。タゲがイワンに移行し、敵が硬直状態のイワンに向かって攻撃を仕掛けようとする。このタイミングを見計らってシノンが短剣技を叩き込み、敵の注意を引きつけた。シノンの硬直が解けるのと敵が態勢を立て直すのはほぼ同時、向き直った敵を体術技で蹴りつけ、更に短剣技で追い込む。シノンが再び硬直したところにストレアが大剣で割り込んだ。これ以上連撃を続けるのは危険すぎるからだ。大剣の側面で敵の壊攻撃を受け止め、敵が態勢を崩したのを見計らって重攻撃技の構えを取る。発動に時間がかかり軌跡がぶれやすいのが大剣技の特徴だが、その威力は短剣技をはるかに凌ぐ。三連撃をすべて受け止めた敵はHP全損をまぬがれなかった。

「危なかったですね。大丈夫でしたか?」
 ストレアとミドリが作戦成功を祝してハイタッチしているのを横目に見ながら、イワンが心配そうにシノンに尋ねると、シノンは何でもなさそうに一言大丈夫と答えた。しかしその言葉とは裏腹にHPは二割程度減っている。後衛であるシノンが奇襲を受けてなお被害をその程度に抑えられたのはよくやったと言うべきだが、彼女の表情は暗かった。
「まだまだね……。あの程度の雑魚すら一人じゃ倒せないなんて」
 シノンがため息と共に漏らした言葉に対し、イワンは困った顔をした。シノンがあの程度の雑魚と呼んだ敵は、確かにこの層に出現する最強の亜人種型モンスターよりは一段弱い昆虫型だが、それでもソロで倒すのは至難の業だ。ましてや奇襲を受けたのだから、ソロなら死ぬ可能性も十分にあっ
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ