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藤村士郎が征く
第21話 川神姉妹堕つ(メンタル面が)
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姿はレアだった。

 マルギッテとしては純粋な疑問をぶつけただけだったのだが、結果的には挑発行為になってしまった言葉に反省しながらも、2人のこれほど慕われている“藤村士郎”なる人物にますます興味が湧き上がっていた。

 「挑発するつもりでは無かったのですが2人とも、失礼しました」
 「む、いや、我もいささか興奮しすぎた様だ」
 「私も柄にもなく声を荒げてしまい、すいませんでした。マルギッテさん」
 「ですが、これほど2人に慕われているとなると、藤村士郎と言う人物への興味が掻き立てられてしまいますね」
 「ほぉ?と言う事は士郎に挑戦しにでも行くのか?」
 「いえ、それはいずれまたの機会とさせていただきます。昨夜の交流戦と朝のHRで作った借りを清算しない限り、先には進めないでしょうから」

 その言葉と共に、丁度一緒に居た雫と弁慶に鋭い眼光を向けるマルギッテ。
 ドイツの麒麟児《猟犬》とまで呼ばれた彼女に、ここまで睨まれれば大抵の人間は戦慄するであろうが、雫と弁慶(彼女たち)はマルギッテの瞳が自分たちをロックしていることに気付いているが、知らぬ存ぜぬのポーズでそよ風のように受け流していた。

 そんな2人の内、雫が弁当を食べ終わり片付けてから席を立つ。

 「お嬢様。先の休み時間の時に言っていた様に、2−Fにこれから行ってきます」
 「ええ。此方は大丈夫ですから、いってらっしゃい」

 ジャンヌに了解を取った上で雫は、2−Sを後にした。
 因みに、雫が2−Fに行ってから10分後にジャンヌは、10段積みの弁当を完全完食せしめたのである。


 −Interlude−


 同時刻2−F

 昼休みのチャイムが鳴った瞬間に、食堂目当ての者達は一斉に全力疾走で教室を出ていった。
 それ故、今は必然的に自炊或いは事前に用意した者達だけだった。

 「ん〜♪今日もまゆっちが作ってくれた稲荷寿司は最高だー!」
 「クリスのそれって、そんなにおいしいのぉ〜?」
 「ん〜?気になるのなら食べて構わんぞ?その代り、千花の具も分けてくれ!自分も委員長の作った弁当には興味が有ったんだ」
 「そんな大層なモノでは無いのですが、美味しく召し上がってもらえれば幸いですぅ!」

 と言った感じに、小笠原千花、甘粕真与と共にクリスは和気藹々としながら昼食をとっていた。
 しかし、如何やら彼女だけは浮かない顔をしていた。その彼女とは・・。

 「ん、今日の激辛麻婆カレーライス(士郎作のレシピ)も絶品!・・・それにしても如何かしたの?わんこ」
 「へ、え?べ、別に如何もしてないわよ?」
 「そう?その割には箸が進んでないけど・・・まさかと思うけど風邪?」
 「ち、違うわよ。って、まさかって如何いう意味!?」
 
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