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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
追憶の惨劇と契り篇
45.無力対神意
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「海原さん!?」
柚木が目を見開き、声を上げる。彼女の視線の先には誰かがいる。頭を抱え込んで喉が張り裂けるのではないかと思うほどに叫んでいる青年。
とても正常な状態の人間の姿には見えない。それは何も知らない彩斗であっても彼が先ほどの眷獣を操っていた人物だと理解した。だが、それでも様子がおかしい。
まるで何かに操られているのを必死で抵抗しているようにも見えた。
「眷獣が消滅したから海原さんの意識が戻りかけてるんだ」
すると柚木が立ち上がろうとする。だが、足に力が入らないのか倒れそうになるのを彩斗が支える。だが、彩斗の身体も限界寸前だった。
先ほどの少女からの治療を受けて少し離れたまともに動けるようになっただけで傷そのものが完全に癒えたわけでない。
「お互いボロボロみてぇだな」
「……今なら海原さんを助けられる。だから……助けない、と」
柚木は自分のことよりも自分を殺そうとした相手のことを守ろうとしている。そんな気持ちなどどれだけ考えても彩斗にはわからない。
それでも彼女が救おうとしているなら彩斗が取るべき選択肢は一つに絞られた。
「……俺が行く」
「え……?」
柚木から小さな声が漏れた。
支えていた手をゆっくり離して彩斗は海原と呼ばれた青年へと身体を向ける。
彩斗が今から戦おうとしている相手は人間ではない。ただの喧嘩でも勝てる自信がないのに相手が不死身の肉体を持つ吸血鬼ならなおさらだ。だが、今の彩斗には不死身の
吸血鬼
(
ばけもの
)
に抵抗する手段があった。
彩斗を助けてくれた少女が持っていた近未来系の銀刀。柚木を助けようとした時にとっさに落ちていたのを拾い上げた。結果としてこの刀のおかげで柚木を救い出すことができた。
強く刀を握りしめる。地面を強く蹴り上げ、海原と呼ばれた青年へ向けて駆ける。
「彩斗!!」
柚木の声に振り向きもせずに彩斗は加速する。この刀なら海原の暴走を止めることができるはずだ。確証があるわけではない。しかしこの刀ならできる。柚木に襲いかかっていた眷獣を消滅させたのも銀の刀だった。魔力の塊である眷獣を消滅させられるなら眷獣によって暴走している彼を救い出すこともできるはずだ。
「ぐあぁぁぁぁ────ッ!?」
海原の苦痛の叫びが響いた。
空気中に散らばっていた水分が刃と化し、彩斗へと殺到してくる。それを銀色の刀が描く軌跡が、ことごとく撃ち落としていく。魔力をかき消された水の刃はただの水へと帰っていく。
誰かが彩斗に次の攻撃位置を教えてくれているようだった。
苦痛の叫びを続ける海原が飛び散った水分を再び集中させ、テニスボールくらいの大きさの弾丸が彩斗を襲う。その攻撃をかいくぐり、相手の懐へと侵入する。
「とっ
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