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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
追憶の惨劇と契り篇
45.無力対神意
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ない。
しかし今の柚木の魔力では、再び“
真実を語る梟
(
アテーネ・オウル
)
”を出現させることはほとんど不可能だ。
ならば方法を考えるしかない。自分を犠牲にしてでもどうにかしなければならない。
その瞬間だった。“
海王の聖馬
(
ポセイドン・ユニコール
)
”が咆哮する。大気が震えるとともに柚木の身体をとんでもない悪寒が襲いかかってくる。
わずかな息苦しさ。
───これはさっきの……!?
そう思った時にはもう遅かった。目の前を一瞬にして爆炎が覆い尽くした。膨大な熱量と熱風が辺りの建物を、地面を一瞬にして破壊していく。それは例外なく柚木たちも呑み込んでいく。
すると少女が地面に突き刺していた刃を素早く引き抜き、爆炎へと刃を突き立てた。
「獅子の御門たる高神の剣帝が崇め奉る───」
やや早口めの祝詞が少女の口から紡ぎ出されていく。爆炎は柚木たちの身体へ当たる前に黄金の翼によって全て無力化されていく。
「虚栄の魔刀、夢幻の真龍……神域の翼膜をもちて……闇夜を穿つ、力とならんッ!!」
全ての祝詞が紡がれるとともにまるで何もなかったと言わんばかりに爆炎は完全に消滅した。
二度も“
神意の暁
(
オリスブラッド
)
”が起こした災害を防ぐとはこの少女は一体何者なのだろうか。すると少女の身体は全ての力が抜けたように崩れ落ちていく。
倒れそうになった少女を必死で支えるが柚木も崩れ落ちる。先ほどのダメージが今頃になって響いてきたようだ。
このままでは二人とも生きて帰ることはできない。
海原自身もかなりの魔力を先ほどから使っているせいで疲労が見えてきたが、眷獣にはそんなこと関係ない。次に“
海王の聖馬
(
ポセイドン・ユニコール
)
”の攻撃を防ぐ方法は柚木が眷獣を出すほかない。
残された魔力だけで“
真実を語る梟
(
アテーネ・オウル
)
”を出現させられるかどうかはわからない。それでもやるしかないのだ。
やれることは全てやってからだ。後悔するのはその後でもできるはずだ。
柚木は自らの唇を犬歯で傷つける。チクリとした痛みとともに口内に鉄の味が広がっていく。それは吸血鬼が魔力を回復するために行う行為。人の身から吸血鬼へと変化するための行為だ。
瞳が赤く染まり、犬歯が疼く。身体中の血が目の前の敵を潰そうとうずうずしている。
右手を握りしめ、海原を睨みつける。鮮血を噴き出す右腕を突き上げる。
「“
神意の暁
(
オリスブラッド
)
”の血脈を継ぎし者、未鳥柚木が、ここに汝の枷を解く───!」
膨大な魔力が大気へと流れ出ていく。鮮血の魔力の塊が徐々に形を形成していく。
「光臨して、“アテーネ・オ───ッ!」
その瞬間だった。凄まじい勢いで
一角獣
(
ユニコーン
)
が突進してくる。膨大な魔力を感知してそれ
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