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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
追憶の惨劇と契り篇
45.無力対神意
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は一瞬だけ、少年がよぎった。気怠そうな顔をした少年。出会ったときから柚木のことを気にかけ、何度跳ね除けても歩み寄ってきた少年。
自分が死ねば、彼は悲しむだろうか。
これならば……、と思った。その瞬間、小柄な人影が柚木の前に現れた。
綺麗な黒髪が靡く少女だ。その手には銀色の近未来系の形状の刀が握られていた。
柚木に背を向けて襲いかかってくる津波とその少女は対峙する。そして水の塊へと銀の刃を構える。
ただの刀では“
神意の暁
(
オリスブラッド
)
”の眷獣が巻き起こした津波を防ぐことなど不可能だ。
「逃げて───ッ!?」
柚木はとっさに叫んだ。しかし少女はこちらに一瞥することなく銀の刃を振り上げる。銀の刃へと膨大な量の魔力が流し込まれた。
そして津波へとめがけて刃を振り下ろした。
その直後、津波が柚木たちを呑み込んだ。
いや、呑み込むはずだった。膨大な質量の水の塊は中央から真っ二つに断ち切られ柚木たちの横を通っていく。
たった一太刀で“
神意の暁
(
オリスブラッド
)
”の巻き起こした災害を無力化出来るとは、目の前の少女は何者なのだろうか。
「大丈夫ですか?」
津波を完全に防ぎきった少女が呼吸を乱しながら振り向いた。柚木より一つか二つ下くらいの年齢の童顔の少女。額には汗がにじんでおり、かなりの疲労が見られる。
先ほどの防御にかなりの魔力を使ったらしく立っているだけでもやっとのように見える。
「私よりもあなたの方が大丈夫なの?」
「ぼ、ボクなら大丈夫です。それより早く逃げてください。ここはボクに任せて」
少女は一瞬ふらつきながらも握りしめている刀を地面に突き刺して支えにする。
「全然大丈夫じゃないよ。あなたこそ早く安全なところへ」
彼女の元へと駆け寄り、倒れそうになる身体を支える。呼吸に合わせて肩が上下する。
そもそも“
神意の暁
(
オリスブラッド
)
”の攻撃を受け止めただけでも凄いことなのにそこから戦おうとしている。それに今の彼女は戦えるような状況ではない。
すると少女は小さな声で呟いた。
「彼と約束したから……あなたを……助けるってね」
「彼……?」
誰だろう。柚木を助けようとしてくれている人がいるということなんだろうか。
すると柚木は一人の少年の顔が浮かんだ。そんなことがあるわけなどない。
柚木はあるはずのない考えを振り払う。
「うがぁぁぁ────ッ!?」
すると再び、海原が咆哮を上げる。この少女を動かした“彼”の存在が気になるがそれよりも今は目の前の彼をどうにかしなければいけない。
このままでは眷獣に全ての魔力を吸い尽くされて最悪海原自身が死んでしまう。それだけはさせてはならない。
どうにかして彼を止めなければいけ
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