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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
追憶の惨劇と契り篇
45.無力対神意
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かることだ。今、彩斗がやるべきことは一つだけだ。
……彼女を助け出すことだ。
痛む身体に鞭を打って壁に手をつきながら歩き出す。
「ちょっと待って」
首だけで振り返った。振り返った先に映った光景に彩斗は目を疑った。少女は銀に輝く刃をこちらに向けている。
自分勝手な行動をした彩斗を始末する気なのだろうか。そうでなくても彼女の言うことを聞かないのです少し痛めつけてでも安全なところに避難させるつもりだろう。
少女が銀の刀を握ったまま一歩一歩近づいてくる。逃げようにも足があまり動かず、じわじわと距離は縮められる一方だ。
「少し痛いかもしれないけど我慢してね」
少しどころの騒ぎすむわけがない。せめてもの恐怖心を見ないようにして紛らわそうとするが首は強張って動こうとしない。
そんな恐怖に彩斗がかられる中、少女はゆっくりと目を瞑り、何かを呟き出した。
「───獅子の御門たる高神の剣帝が崇め奉る」
それは祝詞だ。銀の刃は祝詞に合わせてその輝きを増していく。先ほど襲いかかってきた激流をたった一太刀だけで防げるほどの威力を持つほど強大な魔力。
「虚栄の魔刀、夢幻の真龍……
遠矢
(
とうや
)
の
病
(
やまい
)
を断ちて破滅せし未来を救い給え」
輝きを増した刃がゆっくりと彩斗の背中に降ろされた。わずかな痛みが背中を走る。それと同時に暖かな光が彩斗の身体を包み込んだ。とても優しい光はいつの間にか背中の痛みを忘れさせるほどだった。
「ゴメンね。ボクの魔力じゃこの程度しか回復させてあげられない」
「……回復?」
その二文字が引っかかった。そこでようやく鈍感な彩斗は気付いた。少女は彩斗を痛めつけようとしたのではなくその逆だった。傷ついた身体を癒してくれる術式をかけてくれたようだ。一瞬でも殺されるなどと思った少し前の自分を恨みたい気分だ。
「悪いな、何度も迷惑かけて」
彩斗は少女に方へわずかに頭を下げて地を蹴り、走り出そうとした。しかしその瞬間、足がもつれるように倒れた。
「まだ動くのは無理だよ!?」
倒れた彩斗にすぐさま駆け寄ってくる少女。
「本当なら魔力と傷を癒す術式なんだけどボクの魔力じゃ完全な回復は無理なんだ」
「は……は、ぁ……それでも行かねぇと」
本調子ではないとはいえ、動けないわけではない。ならば動かなくてはいかない。行かなくてはいけない。
誰かの言葉を信じたわけではない。彩斗は自分の意思であの場所に向かうのだから。
「……ボクが行くよ」
足に力をいれて立ち上がろうとした瞬間に少女は呟いた。
「え……?」
少女の言葉を理解するのにわずかだが時間がかかった。不意に理解した彩斗が口にできたのは、え、という一文字だけだ
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