第百八十七話 舞い乱れる鳥その七
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「随分早い飯じゃのう」
「一体どういうつもりじゃ」
「今のうちに飯を食うなぞ」
「何を考えておるのじゃ」
「わからぬ」
こう言うのだった、いぶかしむ顔で。
そして隆元もだ、弟達に言うのだった。
「あれは何故だと思う」
「織田家の物見には見付かっておりませぬ」
「一切」
それでというのだ、元春と隆景も。
「こちらに気付いてのことではないかと」
「流石にそれはないかと」
「おそらく織田の軍勢はこれまで休みなくここまで来ております」
元春はこのことから述べた。
「ですから」
「疲れてか」
「はい、早いうちに飯を食い」
そしてというのだ。
「早く休むのかと」
「それがしもそう思いまする」
隆景も織田家のこれまでの海、本願寺、そして幕府と数々の戦と摂津からこの備前まで急に来たことから考えて述べた。
「織田家はこれまでかなり急いで動いておりまする」
「その疲れでか」
「今日は早いうちに休むのかと」
「それでか」
「今宵は」
「では狙い目じゃな」
隆元は隆景の言葉も聞いて述べた。
「今宵は」
「それでは」
「うむ、ではな」
それではとだ、隆元は答えあらためてだった。
全軍に夜襲のことを話した、そして実際にだった。
彼等もまた干飯と水で腹ごしらえをしてだった、夜を待った。織田軍は夜になると共に寝た。そうしてすっかり寝静まった真夜中にだった。
隆元は夜の闇の中で全軍にだ、こう告げた。
「では今からじゃ」
「はい、では」
「これより」
「皆の者目印として白いものは身に漬けておるな」
このことも確認するのだった。
「それはどうじゃ」
「はい、この通り」
「しかと」
誰もがだった、緑の具足や陣笠に白い布なりを付けていた。緑それも夜の中に白は嫌が応でも目立っていた。
その白も見てだ、隆元は確かな顔で言った。
「ではな」
「行きましょうぞ」
「そして勝ちましょうぞ」
「織田信長の首を狙う」
こうまで言う隆元だった。
「わしに続け」
「では」
毛利の軍勢はすぐにだった、隆元達に率いられて山を降りてだった。
夜の闇に紛れて織田軍を攻めに向かう、織田軍の陣地は寝静まっている様に見えた。しかし彼等が近付いたところで。
不意にだ、その陣からだった。
一斉に松明が立ち上がった、それと共に。
無数の矢が夜の闇の中から飛んで来た、鉄砲の音も。それで毛利の軍勢のうち何人かが瞬く間に倒れた。
「な、何じゃ!?」
「敵が!」
「織田軍が攻撃をして来たぞ!」
「まさか奴等」
「察しておったのか!」
「ど、どういうことじゃ!」
隆元もこのことには唖然として言った。
「まさか気付かれておったのか」
「いえ、我等は見付かっておりませぬ」
「
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