第三十一話 相性その四
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素早くだ、左に動いてだった。
刀身に日を浴びさせた、それで怪人の目にそれを向けて晦まし動きを素早くさせて。
怪人の視界から一瞬消えた、その消えたことにだった。
怪人は戸惑った、そして周りを見回すが。
鈴蘭の姿は見えない、それで思わず言った。
「!?何処だ、何処にいる」
「ここよ」
こう言ってだ、そしてだった。
一気にだ、左から右に。
居合で斬った、鈴蘭は怪人の目の死角その下にいたのだ。
そこから怪人の腹を一閃したのだ、それを放つと。
怪人の背に符号が浮かんだ、白い鈴蘭の星がだ。
それを見てだ、薊は確かな声で言った。
「決まったな」
「薊ちゃん達の予想通りになったわね」
「ああ、地の利って言ったよな」
「ええ、確かにね」
「それだよ、岩場は固いしな」
それにだった。
「日差しが強いよな」
「それも地の利に入るのね」
「そうなんだよ、それを使ったんだよ」
鈴蘭と黒蘭はというのだ。
「それで二人は勝ったんだよ」
「そういうことなのね」
「ああ、二人共頭がいいしな」
「地形に気付いたのね」
「やっぱり戦いはな」
それは、というと。
「頭使わないとな」
「勝てないのね」
「幾ら力があってもさ」
それでもというのだ。
「頭が悪いと負けるんだよ」
「そうね、薊ちゃん達もよね」
「ああ、頭使う様にしているよ」
実際に薊達も頭を使って戦っている、そうして勝ってきているのだ。このことを話しながらそのうえでだった。
その薊達の前にいる二人は死を前にしながらも立ち上がった怪人達にだ、それぞれ至って落ち着いた顔で言った。
「これでね」
「勝ったわね」
「後はね」
「貴方達の最期を見届けるだけね」
「ったくよ、やられたぜ」
「俺もだよ」
どちらの怪人もだ、敗れ死を前にしても態度を変えない。荒い調子の声で二人に応えてそうして言うのだった。
「まさか日の光使うとかな」
「衝撃を使ってかよ」
「目くらまししてなんてな」
「岩場に叩きつけられたら甲羅でも防ぎようがないな」
「そうしたことを考えてか」
「仕掛けるなんてな」
怪人達の言葉には感嘆があった、明らかに。
「凄いじゃねえか」
「頭いいな」
「戦いは頭だからね」
「どう機転を利かせるかよ」
二人も怪人達にこう答える。
「それが出来たからね」
「私達は勝ったのよ」
「この岩場、日差しも強い場所だからね」
「使わせてもらおうって思ってね」
そして、というのだ。
「それが上手くいったわね」
「見事ね」
「ああ、本当にな」
「上手くいったな」
「お陰で俺達は終わったぜ」
「もうすぐ死ぬぜ」
そうなることを自分達でも言うのだった。
「まあそれでもな」
「俺達だけじゃな
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