第5話 巡り合わせ
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ってくれれば良かったのに!」
「聞かれてもないのに、何で言う理由があるんだよ。それにお前にそれ言ったところで、それが一体どうなるっていうんだ。」
「ええー、良いじゃないかそういう事話してくれても!で、良輔、謙之介の事覚えてるって言ったけど、どうだったの謙之介のプレーは?」
話が面倒臭い方向に行き始めたなあ、と小倉は思った。高校生って、どうしてこう、他人の事をやたら知りたがるのか。スポーツの実力とか、趣味嗜好とか、誰が誰の事好きとか、身近な他人の事ばっかり気にかけてやがる。もっと別のことに興味は持てないのだろうか。例えば……政治とか。
「いや、凄かったぞ。ウチのチーム三振13個とられたし、俺はホームランも打たれた」
「おぉー!謙之介、強いの喧嘩だけじゃ無かったんだな!」
「おい、余計な事言うなよ」
田中がしれっと小倉の暴力沙汰を、大きな声で話の中にぶち込んできたもんだから、小倉の方が焦ってしまった。別に気にしてはいないが、わざわざ大声で言いふらすような名誉な事でもない。視界の端では、瀬尾がビクッとしたのが見えていた。
「いやー、しかし、また会う事になるとは思わなかった。これも何かの縁だなぁ……」
保坂が感慨深そうに頷きながら、その顎に手をやる。小倉は嫌な予感がした。そんな縁感じなくて良い。そんなもんただの偶然だ。お前の勝手な思い込みだ。その証拠に、俺はお前の事なんて何一つ覚えちゃいない。
「小倉、放課後ちょっと付き合ってくれ」
聞きたくなかった一言が保坂の口から漏れ、田中が「おぉー!」と意味不明に興奮し、小倉は苦虫を噛み潰した顔でそっぽを向いた。
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