はじめましてのその前に 2
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徐々に人の増える教室で、一人で喋らずに本を読むなんて度胸もない。隣りの奴にもう一度話しかけた。
「あのさ、名前、なんていうの?俺は皆川鴻牙」
「あ…、俺は堀谷和也。……よろしく…?」
何故疑問で返された……。
俺たちを皮切りに周りの奴らも自己紹介合戦が始まった。
「はいはーい!オレ!オレ、山崎俊太!!よろしくぅー!」
後ろの席から肩を叩かれた。女顔だとか言われてそうな、可愛らしい顔をしたチビ助だ。
「鴻牙ってゆーんでしょ?前の席かっこいー名前の人だなと思って茶化しにきたんだ!」
冷やかしか。名前負けしてる自覚はあるが、女顔のチビに言われると腹がたつ。
「どーも、俺も茶化していい?
どうせなら、顔だけじゃなくて名前もシュンコにした方がいいんじゃね?」
俺がそう言った。その一瞬にして教室中がシーンとなった。
やらかした。
どうしようか。笑顔で適当に取り繕ったとしても、冗談通じない奴だとレッテルを貼られてしまっているだろう。高校生活がこの失敗一つでオジャンだ。
絶望で頭を抱えたくなった時だった。
「………ぷっ」
誰かが噴き出した。
何秒ほど時間が止まっていたのだろうか。むしろそれは分単位なのだろうか。
その誰かをみんながキョトンとした顔で見つめた。
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