第1章 群像のフーガ 2022/11
6話 獣人の王
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れだけ運動エネルギーが上乗せされるため、決まればその威力は筋力極振りの一撃さえ易々と上回る。高威力ほど攻撃の速度が遅いと思われがちだが、そのような断じてない。むしろ逆と言っていい。
矢や銃弾は、速いからこそ殺傷力が高いのだから。
とはいえ、あの加速から精密に弱点を射抜く技術には舌を巻かされる。ましてや空中という不安定な位置からソードスキルを繰り出すなど、途轍もない技術ではないか。
「う、うまくできた………失敗しちゃうかと思ったよ………」
しかし、感動は一瞬で崩れ去る。どうやら持ち前の技術ではないらしい。
「………命懸ってるんだから変な賭けはやめてくれ?」
「頑張ったんだから褒めてよね!?」
かなり無茶苦茶な非難を無視して、前線に目を向ける。
戦局は優位を保ったまま進められているらしく、控えのE隊とG隊を除く各前線PTの平均HPも八割前後をキープしていた。正直、このままだと控えの二隊は活躍もままならず幕引きとなることも大いに在り得る。取り巻き殲滅も俺達だけで十分だし、これではどちらがオミソだか分かったものではないが、ひとまず彼等の心配はこのくらいにする。
「………来るぞ。第二ラウンドだ」
コボルド王のHPゲージが三本目に突入し、左右の壁から新たに《ルインコボルド・センチネル》が飛び出す。先程と同じように、ヒヨリが俺の背後に控えたのを確認してから礫を投擲する。
うまくいっている。少なくとも今の段階ではそう思うし、破綻もない。
大丈夫と自分に言い聞かせるように、或いは、このまま無事に終わらせてくれと何者かに祈るように、現状の優勢を何度も確認した。その安心が、最後の一瞬まで継続されるように、ただひたすらに、強く………
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