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ソードアート・オンライン‐黒の幻影‐
第1章 群像のフーガ  2022/11
6話 獣人の王
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メージ以上に上昇したヘイトによって、二匹は武器を振り上げて猛然と走ってくる。《異常にヘイトを上昇させる》石ころ特有の効果を用いたヘイトコントロールだ。攻撃力が低い上にヘイトも無駄に上げるためにあまり常時の使用に向くものではない。用途に合わないときは使用を控えるのが賢明だったりする。
 そうこうしているうちに、前後一列に連なったコボルド達は既に接触まで残り五メートルという距離に達した。この状況においても一切の動きを見せない《大事な戦力ご一行》は意識から消し去り、間合いをを詰めるべく駆ける。小柄なコボルドが跳躍して、俺の脳天に向かって刃を振り下ろさんと長柄斧が高々と振り上げられると同時に、晒される弱点部分に獰猛な笑みが零れるのを感じながら、目の前のコボルドに呟く。


「………悪いな、隙だらけだ」


――――一閃。

 ソードスキルのライトエフェクトを帯びない刀身が横薙ぎに冷たい軌跡を描き、その頭上に伸ばされたコボルドの腕を断ち斬った。宙に舞う両腕は長柄斧を握ったままポリゴン片となって爆散。同時にHPが減少する。

 SAOにおいて、十数種類存在する状態異常(デバフ)のうちの一種、名を《欠損》という。
 防御力の数値を持つものは、すべからく隠しステータスとして四肢やその他の部位にそれぞれ耐久数値と弱点を個別に持っている。
 欠損とは、一撃や蓄積を問わず一定の箇所へのダメージが耐久数値以上に達した場合、その箇所が破壊されるという形で発生するのである。効果は、その部位によって行われる動作の使用制限。持続時間は3分間。ヒヨリ代行によって過剰に強化された《レイジハウル》のスペックと、鞘《シール・オブ・デモリッション》による《鋭さ》ボーナス、手に装備した指貫グローブ《キリングワークス》の筋力ボーナス、そして《ルインコボルド・センチネル》の腕部の弱点を的確に攻撃したために、第一層ではまず見られないであろう状態異常を引き起こしたのだ。


「今だ!」
「行っくよー!」


 剣をそのままの軌道で走らせて背中に運び、そのまま予備動作(プレモーション)に移行。起動した片手剣突進技《ソニックリープ》が兜の隙間を貫き、その内部にある部位を破壊する。手応えを感じた瞬間、相棒に叫ぶ。そのまま突進で押し込み、その背後に二段構えの様相で構えていた《センチネル》も突き飛ばされ、HPが全損した一匹目が青い破片となって砕ける。その向こう側で後続がよろめくのを確認したときには、背後から擦り抜けたヒヨリが地面を滑るような軌道で跳躍していた。
 さながら全身を弾丸と化した加速度で喉元に《リニアー》が放たれ、二匹目はその一撃を以て力尽きる。敏捷寄りのビルドをしていることで筋力が落ちてしまうものの、間合いを詰める際の加速さえ殺さずにソードスキルが放てればそ
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