第1章 群像のフーガ 2022/11
6話 獣人の王
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によるステータスの大幅な強化に併せて、多くのプレイヤーに対してリーダー性を発揮できる。そして、その影響力は認識の浸透≠フ兼ね合いもあり、より早い段階で名が売れた方が強まることは言うまでもない。保身の為に今のスタンスを貫くならば、自分に従うプレイヤーを集めてベータテスターを弾圧しようと考えるのがこの流れでは最も可能性の高いものだろうか。それを狙うとすれば、間違いなく第一層のボスのLAを取るという誉が必要なのである。
「………ジブンらはわいらのサポ役なんやからな………せいぜい、邪魔にならんよう端っこにおれよ」
言いたいことは一頻り言い終えたらしく、止めに唾を吐いて仲間のPTの元へと戻っていった。何とも表現し難い感情が残るが、キバオウに対して抱いている印象も憶測によるものが大きい。今はこれから行われるボス戦に集中するべきか。
「………何、あれ」
不快さをありったけ込めた言葉を吐きつつアスナが、キバオウの背中に突き刺さるような視線を送る。それにしても、赤いフーデッドケープが、この時ばかりは返り血を誤魔化すためのものなのではないかとさえ思えるほどの殺気を放っている。この女が第一層のボスだったら、俺は攻略を諦めていただろう。
「さ、さあ………ソロプレイヤーは調子乗んなってことかな………」
「仲間ごっこは嫌っていたのに逸れ者には随分と差別的だこと」
キリトの言葉で矛を収めたアスナは、つまらなさそうに文句を零すと噴水へ向き直る。
大事な局面を前にして今の闖入は遺憾の一言だが、流石にいつまでも気にしているわけにもいかない。キリトとアスナは、とくに問題にはならないだろうが、ヒヨリが後に引き摺らないか心配になってしまう。モチベーションはパフォーマンスにも関わる重要なものだ。ましてや、この世界において精神も肉体も同一の位置にあるといっても過言ではないのだから。
「大丈夫か?」
「うん、少しだけ怖かったけど大丈夫………」
ありがとね。と返しつつ、ヒヨリはふと何かを思い出したように続ける。
「そういえば、この上ってどんなところなのかな?」
この上とは、恐らく第二層のことだろうか。かなり省略された表現だった所為で把握に少しだけ時間を要したが、俺の記憶では第一層よりも荒涼とした印象が強い。もっと言えば見晴らしが良いとか視界が開けているとかだろうか。とりあえず主街区から説明をしようと考えていたが、ディアベルが前に出たことで会話は自然と途切れ、それ以上の進展はなかった。俺としてはヒヨリが平常心であったと判っただけで十分だったので、それ以上こちらから話題を蒸し返すような真似はしなかった。
それよりも気に掛けなければならなかったのは一部PTの
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