第1章 群像のフーガ 2022/11
6話 獣人の王
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、それだけに解かりやすい。他のPTがフルメンバーで組む中で、このPTだけ人数が少ないのだ。ましてや、攻略会議中に組んでいた時点での人数は俺達を抜いてキリトと寝袋女の二名ということになる。そうなっては、如何に火力を持つ彼等であっても前線に出して戦わせるのをディアベルは躊躇ったことだろう。それゆえに、このPTは外野にすらならない端役を与えられたと考えられる。命が掛かっている以上、効率より優先すべきは安全だ。別にボスのLAを取りに行く理由もない。この決定には心から感謝するとしよう。
「おい」
とても友好的とは言い難いような低い声が背後から聞こえ、ひとまず振り向く。
立っていたのは毬栗頭ことキバオウだった。我らオミソパーティーを忌々しそうに睨み付けると、呼びかけた時よりもさらに低い声で言う。
「数が増えとるならちょうどええ。雑魚コボは全部くれたる。わいらがボス仕留めるとこを指咥えて見とけや」
「危険過ぎる。無理だ」
彼の所属するPTが雑魚狩りを任されていたのだろう。という考察を端に追いやって、キバオウの意見を拒否する。態度が気に入らなかったというのも理由にあったが、それ以上にこの土壇場での役割の変更が俺には無謀に思えたのだ。
というのも、ボスを二隊が攻撃するという作戦は、別に始めからどれか一隊に雑魚狩りというハズレくじを押し付けるためではなかったはずだ。雑魚狩りもボスへのダメージを安定化させる上では不可欠な役割だし、攻撃部隊がボスを攻撃する際に互いが一定の間合いを空けていなければ流れ弾ならぬ《流れ刃》を貰う可能性がある。SAOにおいて、混戦時に武器がプレイヤーに偶発的にヒットしてしまってもダメージにはならないが、障害物接触判定を受けてしまい、ソードスキルや直接攻撃が停止してしまうのだ。ボス戦の最中でそうなっては目も当てられない。
「やかましい! 口答えすんなや!」
だが、こちらの懸念を知ってか知らずか、返答として向けられたのはありったけの怒号だった。上下関係を明確にしたかったのかかなり高圧的で、こちらの意見など匙程も受け入れようとしないことがありありと伝わってくる。
まさか商談を断られた翌日に平然と声を掛けてくるとは流石に予想していなかったが、あれだけのヘイトスピーチを断行する胆力の為せる業だろう。それに彼がベータテスターであるとするならば、新規プレイヤーが抱くベータテスターへの憎悪を煽って自分の安全を確保するような人間だ。自分以外を壁としか認識していないようならば、そもそも気まずさも感じないのだろうか。
………それに恐らく、この男はLAを狙いに行くだろう。フロアボスに止めを刺した英雄ともなれば、そのボーナスで入手できるユニーク装備
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