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エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
第二十三話 一斉蜂起
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いぞ」

 何だ、ルタスか。お目当ての男がいなかったからって俺を睨むな。

『もー、しょーがないなー。じゃーイバルで我慢してあげるー』

 待て。むくれるくらいなら、俺の隣に座るな。何がしたいんだお前らはっ。

「アルヴィン、戻りませんでしたね」

 ああ、傭兵か。今ここにいないんなら、あいつはア・ジュールに付いたんだろう。元々あちらの国のスパイだったらしいしな。

「そんなにあの男が気になるのか? いてもいなくても大差ないだろう」
「ありますよ!」『あるに決まってんだろイバルのバホー!』

 うわ、何でいきなり立ち上がる! 俺が何をした。当たり前のことを言っただけだろうが。

「一緒に旅して、何度も助けてもらったんです! イバルは気にならないんですか!? アルヴィンはシャン・ドゥでも自分がどうして戦うのかの理由、教えてくれました!」『自分の一番の弱点教えてくれたんだぞ! スパイのくせに、ウソツキのくせに、教えてくれたんだ!』
「う、うるさい! 貴様がハ・ミルに閉じ込められた遠因は、傭兵がリーベリーに侵入したからだろう! それをどうして頼みにするんだ!」
「う……イバルのいじわる!」

 ルタスは逃げていった。

 ああもう何なんだ! 決戦――ミラ様をお救いする決戦の直前に、おかしなことばかり言いやがって。
 俺は悪くないぞ。絶対謝ってやらないからな。





/Victor

 ローエンとの戦略最終打ち合わせも終わったところで、ワイバーンのいる場へ戻る途中、誰かとぶつかった。この小ささと軽さ。それに君影草の簪。

「どうした、エリーゼ。誰かにいじめられたのか?」
「ヴィクトル……」

 イル・ファンに行く前に涙とは穏やかではない。しゃがんで手袋でエリーゼの目尻をぬぐってやった。

「……ローエンから聞いたんです。ナハティガルとの、こと。妹さんのこと。ローエン、トモダチとケンカするんだって思ったら、わたし……」
「優しいな、エリーゼは」

 エリーゼは大きく首を振った。

「ヴィクトルに、どうしたらいいか聞きたくて、でも、行ったら、いたのがイバルで。どう話していいかわかんなくて、アルヴィンのこと言ったら、ケンカに、なっちゃいました」
「そうか。辛かったな」

 エリーゼは抱きついてきた。背中に腕を回して、軽く何度も叩く。エルが泣いた時はよくこうしてやっていたのを思い出す。

「ローエンを可哀想だと思うなら、その分だけローエンを応援してやりなさい。きっとローエンの力になる」
「そんなんで、いいんでしょうか」
「もちろんだとも。私がローエンだったら、それだけで無敵になれる」

 少々大袈裟だが、子供相手にはこのくらい分かりやすい言葉のほうが伝わりやすい。

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