暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikers〜誰が為に槍は振るわれる〜
第一章 夢追い人
第5話 賑やかな晩ご飯、そして舞い降りる死神
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 そんな今まさに、絶体絶命の崖っぷちで耐えるシグナムの元へと、何者かが近づく。

「?―っ、――っ、――っ」

 薄れゆく意識の中、草を踏みしめながらこちらへやってきた影を見上げてみれば、そこにいるのは白い髪の誰か?―消去法でいくなら恐らく、この危険物質(ダークマター)をおいしいなどとのたまったラディオン・メイフィルスだろう。
 その彼が、膝を折って自分と視線を合わせながら口を開いた。

「なぁ、セラフィム。この第97管理外世界地球の日本という国には、戦に臨む前の戦士への訓戒として、あることわざがあるらしいんだが、知ってる?」

 口元からチラリとのぞく白い歯が似合う爽やかな笑みを浮かべるラディ。
 しかしなぜだろう。その爽やかな笑みに、シグナムの背筋から先程とは違う冷や汗が流れる。

《いえ、知らないですね。あいにくこの世界の知識には疎いもので》
「そっか。じゃあこの際だから覚えとくといい」

 変わらない爽やかな笑顔のまま、彼は持っていた割り箸を、あろうことか自分の皿の上にある食べかけの死神(シャマル)特製の危険物質(ダークマター)へと近づけていく。

 おい、まさか……!?

 どうか自分の勘違いであってほしい。これまでの長い人生の中でこれ以上にないほど、真摯にシグナムは神へと祈る。
 が、祈り空しくパンケーキ入刀。

「“腹が減っては戦はできぬ”。ということでシグナム副隊長?―」

 悪夢(ゆめ)に出そうなほど“素晴らしい”笑顔で、ラディは切り分けた危険物質(パンケーキ)を、つまむ。

「あーーーん♪」
「?―っ、――っ!!……――――っ!!!!!」

 最後の力を振り絞った抵抗も空しく、シグナムの口に危険物質(パンケーキ)が放り込まれ、同時、下顎に手を添えられ押し上げられる。 
 口の中で噛みしめられ、滲みだした形容しがたい(どく)に一瞬息が止まり、沈黙。

 そして?―

「………がはっ!!」
「「「シグナーーーームっっ!!!」」」

 健闘及ばずとうとう死神の鎌(パンケーキ)の前に屈し、力尽きたシグナムにその場に居合わせたメンバーが顔を真っ青にして殺到する。
 辺りは上に下にと大混乱。
 その中で一人、この騒動の元凶ともいえる少年は、涼しい顔で少し後ろに身を引いてこの大惨事を眺めていた。

「いや〜一時はどうなるかと思ったけど、これで模擬戦は無事回避っと♪ シャマル先生の“料理の腕”さまさまだな♪」
《にしてもやり方がえげつなさすぎだと思うんですが……》

 上機嫌なラディにセラフィムが渋い声で抗議する。
 その抗議がラディにはいたく心外だったらしく、反省するどころか逆に不機嫌そうに頬を膨らませる。

「いやいやいやいや。えげつないも何もオレ
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