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魔法少女リリカルなのはStrikers〜誰が為に槍は振るわれる〜
第一章 夢追い人
第5話 賑やかな晩ご飯、そして舞い降りる死神
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こには自分と同じように涙を流すフェイトの姿。
いや、彼女だけではない。その場にいる全員が泣いていた。
中にはその
危険性
(
あじ
)
を知らない者もいるだろう。だがそんなことは関係なく、その場の全員が泣いていた。
分かったのだ。理解したのだ。
これは喜ばしいことだと。喜ぶべきことだと。
「シグナム……シグ、ナムぅ……よかったね。ほんとに……ほんとに…っ!!」
「……ありがとう…テスタロッサ……」
嗚咽を抑え込み声を振りながらシグナムは喜びを噛みしめる。
この場に居合わせることのできた喜びを。そして、この喜びを分かち合うことのできる仲間を持つことができた喜びを。
「フェイト隊長、シグナム副隊長」
止まらない涙に目元を押さえるシグナムとそんな彼女を優しげな表情で見守りながら自身も涙を流すフェイトの下に、箸を止めたラディが両手に二つの皿を乗せたラディが歩み寄る。
「よかったら、どうぞ」
差し出された皿の上にあるのは、シャマルの作った一切れのパンケーキと予備の割り箸。
「ああ、いただこう」
「ぐすっ。ありがとう、ラディ」
ラディの厚意に感謝しながら二人は差し出された皿を受け取り、割り箸を手にする。
皿の上にあるのはまさしくパンケーキ。
少し焼き色が強すぎるように思えるが、その拙さが逆に、手作り感を出していた。
あぁ、本当に成し遂げたのだな。
再び湧き上がる感動を胸に、シグナムはシャマル特製パンケーキを箸で持ち上げ、そして口へと入れた。
「あぁ……うま?―」
うまい。そう言おうとして、言葉が途切れる。
「?―っ、――っ!?」
なんだこれは?―!?
うまいと言おうとするが声がでない。それ以前に口を開くことすら困難を極める。
さらには視界まで歪みだす。
涙で、ではない。純粋に目に映る世界が揺れているのだ。
いや、なによりもそれ以前に、食べ物を口にすれば最初に反応するはずの
味覚
(
した
)
がまったく機能していない。
異常をきたした五感の中で、少しはマシに機能していた耳が、なにか重いものが倒れる音を拾った。
身体の奥深くからせり上がってくるなにかを必死に押しとどめながら、音のあった方向に目を向ければ、そこにあったのは、地面に横たわる金と黒と肌色のなにか。
記憶が正しければ、そこにいたのはフェイトだったはず。
だがそれも狂ってしまった五感では確かめることはできない。
そして次はお前の番だとばかりに、シグナムの意識が闇へと落ちていく。
明滅する意識の中、しかしそれでも
守護騎士
(
なかま
)
としてのプライドが失神だけは避けようと、膝を地面に着きながらも頭だけは地面にこすりつける真似だけはと、残った僅かばかりの力が彼女の頭を支える
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