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青い春を生きる君たちへ
第4話 卑怯者
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み込めてきたんだが、掴みかかったのは大古の方だったんだって?で、昼休みに大古の彼女の瀬尾に説教食らわせたのが全ての始まりだったんだと?」
「僕は最初からそう言ってますよ」


一方的に小倉に蹂躙された大古直斗が、教師に語った顛末は事実とは随分違うものだった。何故か、小倉の方が呼び出して襲いかかった事になっていた。自分から「雅子をコケにする奴は許さない、コロしてやる」などと勇ましい事を言って殴りかかってきた癖に、拳で敵わないと見るや、途端に弱者を気取って大人に助けを求める。その節操のない変わり身の早さには、怒りを通り越して感心したものである。しかしまあ、やられっぱなしで終わるのではなく、最後の最後まで敵を貶めようとするその姿勢は、今流行りの「諦めない」姿勢と通ずるものがあり、これもある意味立派な態度かと、小倉は他人事のように思っていた。


「こういうのは被害者側の言う事の方が優先されるんだよ。被害者側の言う通りに、よしよし、そうですねって言っとくのが一番収拾が早いだろ。今回の場合、お前の方の保護者は無k……理解があるからな。大古のオカンはカンカンだったんだぜ?」
「……」
「でもま、田中から大体の話は聞いたよ。よくやったわ、お前」


突然褒められて、小倉は首を傾げずには居られなかった。大古直斗をボコって、瀬尾雅子をなじって、どうして葉鳥に褒められるのだろうか。


「瀬尾が調子乗ってメロンパン横取りしようとしたのを阻止して、逆ギレした大古をけちょんけちょんにしたってことだろ?やりすぎたかもしれんが、間違った事してるとは、俺は思わない。だいたい、あのバカ同士のカップルは授業中うるせえしすぐ教師に楯突くし、俺もあんなのは嫌いなんだよ。だからお前のおかげで少しは憂さが晴れた。」
「……結構、滅茶苦茶ですね。そんなにあの二人が駄目なら、指導するのが先生の仕事じゃないんですか?」
「ていう風に、どいつもこいつも言うけどな。人の言うことに聞く耳持たない、自分が世界の王様だと勘違いしてる猿みたいな奴に、何か言うだけ無駄なんだよ。下手したらすぐ泣かれて、俺の方が悪者になる。ああいう手合いは、傷つきましたーって言えば、大人の方が必ず折れるって事だけは一人前に知ってるんだ。どうせあんな感じじゃ、この先の人生はつまらんのだから、今だけでも楽しませておいてやるんだよ。そしてたまにお前のような正義漢が鉄槌を下すのを見て、『暴力はいかんぞい』とか何とか思ってもない事を表では言いながら、裏でケタケタと笑うのさ。」


ニタっと笑う葉鳥には、さすがの小倉もドン引きした。葉鳥は見た目は不潔だが、松陽の生徒の間では、それなりに「話が分かる先生」としての支持はあるようだった。その「話が分かる」という事の中身が、そもそも生徒を導く気がない無気力、諦めに根ざ
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