忍び寄りし空握る衝動
部室から聞こえる怪奇音
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さいましね」
明らかに瀧馬の方にも向いて言葉を掛けていた会長に、瀧馬俺は違うってのと声を掛けたかったものの、その前に会長は部室から出て行ってしまった。
去り際にメイドが振りかえり、総二に向けて声を掛ける。
「時間を取らせて済まなかった。先程はいい目をしていたな。真剣味が伝わって来たぞ」
「は、はぁ」
礼をしながら言っている所を見るに、どうやらこの台詞はお礼の意を込めているらしい。その言葉にも総二は生返事で返していた。
口が半開きになっている面々を見ながら、瀧馬は無言でゆっくりと後に続く。
そしてドア手を掛け開けて出る数秒間に立ち止まらぬまま…… ギリギリで “聞こえる様に” 呟いた。
「何言ってんだか……観束はテイルレッドを好いていない、それに腕には何もつけてねぇじゃねえか……幻覚でも見てんのか……?」
それだけ言うとドアを閉めて足早に去っていく―――――フリをして、ドアのすぐ近くに佇み息を潜めた。
すぐに、焦った声での会話が聞こえてくる。
「トゥアール! 一般人にテイルブレスは見えないんだろ!?」
「は、はいその筈です!」
「確かに新垣さんには見えてなかったものね」
「でもよ、アイツはツインテールとは超がつく程に無関心で無関係な奴だろ? けど会長はもう何度かアルティメギルに狙われてるし、それだけ強いツインテール属性持ってたら見えるって可能性も……」
「念の為、今夜検査してみましょう。認識阻害装置は日常生活において一番大事な様相ですから」
「ああ、頼む」
「お願いするわ」
実は見える人物が “二人” いて、内一人はエレメリアンと闘うエレメリアンなど、彼等は全く思っても居ないようだ。
「……一先ず、これで少しばかり怪しまれても問題ない」
『クハハ、やるじゃあねェカ、先入観てのは大事だかラナ』
少し歩いて離れてからそう呟いた瀧馬の言葉を受け、ラースは特徴的な笑い声を上げた。
……そして、最後の最後で聴力を集中してしまい、部室から何かが空を切り裂いて飛ぶ音と、奇妙な断末魔を上げて倒れる音がしたのは、完全なる余談である。
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