忍び寄りし空握る衝動
部室から聞こえる怪奇音
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ですわ」
「わっ、わ、わざわざすみません」
噛むほど緊張している総二を微妙な目で見ながらも、部室を出るタイミングを失い少し焦っている瀧馬は、しかしここでどう足掻いても仕方がないのでせめて巻き込まれにくくなればと一歩下がる。
「部活の内容ですが、ツインテールを研究し見守る事とありますが……」
「はい、間違いありません」
(目ぇ見て話せや、目ぇ見て)
『何処見て話してんのかねアイツ』
総二の目線は会長のツインテールへ向いている。真顔で真剣に返してはいるが、よく見なくとも明らかに目を見ていない。
もしかすると、ツインテールを見て話す事を彼は礼儀だと思っているのかもしれないが……それは彼にとっての礼儀なので会長がそうだとは限らない。
下手をすれば不機嫌にさせて取り下げ、もしくは即廃部なんて事になりかねないのだが、そんな状況で私情を優先して大丈夫なんだろうか。世の中我を貫くばかりではいけないのだから。
そもそも何でそんな事を礼儀にしているのかも分からない。ツインテールフェチも極めればここまで来るのだろうか? ……いや、来ないと思う。
そもそも幾ら礼を失さぬように、不審に思われないようにと真剣になった所で、変わり種にも程があるこの部活は名前を見ただけで不審に思われている事請け合いである。
しかし、会長が問い掛けたのは目を見て離さない事でも、部活の名前でも無かった。
「……観束君、あなたは……あなたはツインテールが好きなんですね」
「はい大好きです」
「では……何故部活動を作ろうと思う程好きなのですか?」
「ツインテールを好きになるのに、理由が要りますか?」
(答えになってねぇよ……)
『答えじゃねぇじゃんそリャ……』
格好良く答えたつもりでも、常識人側からすればちょっと訳が分からない返しだった。
直訳してしまうと、ツインテールを隙になった理由は分からないと言っているにも等しい。まあ、どうやって返したらいいか分からないという事もあるし、ここは置いておく。
だが、傍から見ていた瀧馬には怪訝に思う部分が一つあった。
総二は明らかに、今の台詞を会長に共感してもらえるモノだと、そう確信して言っているように感じたのである。
いくらそのツインテールという髪型が好きでも、それは自分に似合うからだったり、お気に入りの漫画のキャラクターの髪型だったりとそれなりの理由はあるだろう。
(何処まで自分ルールが通用すると思っているのか……こいつは)
会長はその発言が理解し難い物だったからか、難しい顔で黙りこんでいた。
対する総二は何を勘違いしたかより力強い眼付きでツイン
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