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横浜事変-the mixing black&white-
結末は、黒幕なしでは語れない
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らは頭部のあちこちに散弾の雨を食らい、膝を崩して地面に落ちていった。せっかく組織が支給してきた防弾チョッキの意味がない。呆気なさすぎる仲間の死に、その光景を横目で見ていた法城は口をポカンと開け、次に大河内の方を見やった。

 「お前の判断、どうやら間違っ……え?」

 今度は理解出来ないといった顔を作る法城。実際問題、彼は分かっていなかった。

 大河内が身体を直立させ、空に浮かぶ月を眺めながら嗤っている。真後ろに敵がいるのにも関わらず、青白い光を放つそれを見て喜色満面を浮かべていた。

 「大河内?」

 「……ずっと思っていた」

 「は?」

 チームCのリーダーは相方の疑問には答えず、優しく吹きつける風に服を漂わせていた。まるで何かから解き放たれて自由になったとでも言うかのように。

 「僕は主役になれるのかって。物語の始まりになれるのかって。けれど運命は僕の素朴な疑問を一蹴した。これまでも、この先も、僕はずっと脇役のままで名前が知れることなんて絶対にない……筈だった」

 「……何言ってんの?」

 「そう、僕はまだ舞台の上に立てるんだ……!この横浜という街の裏側で本当の自分をさらけ出すことが出来る!なら、そのきっかけを自分自身で潰してしまうわけにはいかない。君達だってそう思うだろ?」

 心の底から生み出したように清々しい声で、大河内は後ろに振り返って呼びかけた。法城は銃を向けながら煉瓦の陰から顔を出したのだが、相変わらずに暗い一本道で人を識別するのは難しかった。

 と、そのとき周囲がパッと明るくなる。何事かと目を見開いた法城だが、その異変は単純なものだった。

 ――街灯が灯ってる?突然?

 これまで全くと言っていいほど灯る気配のなかった街灯がいきなり身を光らせたのだ。このときを待っていたとでも言いたげに煌々と地面と自分を照らしている。ついでに隣の仲間の(むくろ)がはっきり映って良い気分ではなかったが。

 ――それよりも前にいる奴らを……。

 法城は敵の姿を見ようと視線を大河内と同じ方に向ける。そして、その先に広がる異様な光景に唖然とした。

 「……赤島、さん」

 法城らがいるゴミ置き場の窪み。先程まで周囲は街灯の光を浴びない漆黒世界で、その中で敵に狙いを付けるのは相当困難な技だった。事実、前転しながらの発砲は適当だ。相手への牽制になれば良いという軽い気持ちだけで撃ったのだから。

 それなのに、自分がその牽制を仕向けていた敵の正体が『仲間』だったというのは、どんな皮肉だろうか。

 チームBは一人が左腕に銃弾をもらっている。防弾チョッキは重量的問題で胴体のみ守る。そのため腕や足への被弾はそれなりの痛みを伴ってしまう。

 その他に負傷している様
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