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エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
第二十二話 心、晴れ、空翔けて
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〈ジュード〉からは、初めて飛んだ時はとんでもなく暴れたと聞いた。
 ワイバーンそのものを駆る腕と、後続をリードする技術。これら全てが獣隷術。本来キタル族のみの才で、イバルのそれは偶発だと聞く。こうなるまで彼はどれだけの研鑽を積んできたんだろうか。

 イバルについては大きく道筋を違えてしまったな。戦力としては助けられたが、本来ならイバルはこの事変に絡まないのが正しい在り方。

 それに、今この場にはいない――レイア。革命軍の助力につい時間を割いたせいで、ル・ロンドを訪れる機会を作れなかった。元気印の一直線に見えて、実はローエンと同じくらいに思慮深かった彼女。その思慮から来る励ましに、〈エリーゼ〉も〈ジュード〉も救われたと言っていた。必要な人間だったはずなのに。

 思えば〈この世界〉は何なんだろうか。とっくに分史世界になってしまったのか。それとも、正史と分史という区別すらない、全くの新世界なのか?


「ヴィクトルさん」

 ――来たか。

「まずは、さっき城で兵を足止めしてくれてありがとうございます。おかげでこうして全員無事に脱出できました」
「ああ」

 フェイリオ関係でないなら、相槌くらいなら打ってやってもいいか。

「思えば貴方には本当にたくさん助けられて来ました。バーミア峡谷の時も、ドロッセルが囚われた時も、旗揚げをしてからも。これでも、ずっと感謝してたんですよ? 言えずにいる内に、言いにくいことが起きただけで」

 私とフェイの間柄を見て、こんがらがった関係になってから、か。

「ガンダラ要塞に着いたら本格的に事を始めます。それまでに言っておきたかった。今日まで本当にありがとう、と。事を成し遂げたら、どうかフェイを頼みます。きっと僕はそばにいられないから」

 ッ、いきなりフェイを話題に混ぜ込むな。いや、そもそも、その言い方は。ナハティガルを討ったらフェイリオから離れるという意味か?

「何故、私に? 私がフェイリオに向ける感情はお前も知っているはずだろう」

 情はある。父が娘に向けてはならない情だが。一度はそれを断じたクレインなのに。

「彼女は何だかんだで、ずっと貴方と一緒にいるような気がしたから、でしょうか」

 穏やかな声に、寂しさや悲しみの色は欠片も感じられない。この男、本気でフェイを諦める気か?

「僕が言うのは筋違いでしょう。それでも言います。彼女を本当の意味で守れるのは、ヴィクトルさん、きっとあなただけです」
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