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エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
第二十二話 心、晴れ、空翔けて
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命軍の皆サン。ラ・シュガルに清く新しい風が吹かんことを」
メイスはスタスタとワイバーンの一頭に飛び乗った。
ワイバーンが羽ばたいて飛び立つ。衝撃で身構えたみんな、誰もメイスに声をかけられなかった。
/Rowen
この局面で最速の足を確保できたのは僥倖です。メイスさんと言いましたか。敵国の兵とはいえ、ここは感謝するのが筋です。
「行っちゃいました……」
「嵐のような女だったな」
雪原でいつまでも突っ立っているわけにはいきません。早くこのワイバーンに乗って、ガンダラ要塞に戻らねば。奇しくも我々の計画とハ・ミル襲撃がぴったり重なった。この幸運を逃す手はありません。
ただ、ジジイも頭を抱える問題が一つ。
獣隷術を修めているイバルさんが乗り手としては最も信頼できます。それを踏まえると、エリーゼさんかフェイさんのどちらかと相乗りしてもらうのが得策でしょう。
ではどちらの娘さんと相乗りしていただくかですが――
後ろを見やれば、おかしな緊張感を漂わせる我が主とヴィクトルさん。
牽制し合っています。どちらとも「別に何もない」表情を取り繕っておられますが、ジジイにはバレバレですよ。
シャン・ドゥからカン・バルクに向かう道中と、カン・バルクでの謁見待ちの時間もこうでしたね。ガイアス王の城から脱出する時は確かに息が合っていたと記憶しているのですが……ひょっとしたらアルヴィンさんが抜けた本当の理由はこれかもしれません。
とりあえず、イバルさんとエリーゼさん(とティポさん)のタンデムは決定で。
さて。後はどう組み合わせれば角が立たずにすむでしょうかねえ。
/Victor
とりあえず一言言おう。恨むぞ、ローエン。
ワイバーンは3頭。二人一組で乗らねばならないのは承知していた。ローエンが組み合わせを決めたいと申し出た時も特段気にしなかった。
まさかローエンが、私とクレインを組ませるとは夢にも思わなかった。
ちょっと待て私たちはフェイリオを巡る恋敵同士だぞローエンは私とクレインの何を試したいんだ下手をすると片方が片方を事故に見せかけて葬りかねないぞというかクレインは君の主人だろうが執事としてこんな真似していいのか――
とまあ思考が2秒で脳内を駆け巡ったわけだが、何でもない顔で了解した。何のことはない。ここで狼狽する姿をクレインに見せて堪るかという、ただのプライドだ。
そしていざ離陸してからは。
「――――」
「――――」
当然こうなる。
私はクレインに言うことはないし、クレインが何か言って来ても無視すればいい。
ワイバーンの飛行自体は問題なかった。これはひとえにイバルの舵取りが巧みだったからだ。
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