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横浜事変-the mixing black&white-
法城は恥ずかしがる様子もなく、長々と哲学を語った
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あるんだ?
謎が謎を呼び、脳がその負担から逃れようと別の感情を引きずり出す。無駄な事を考えまいとするが、最後には夜空を見上げ、溜息を吐いていた。
ところどころに灰色の雲が浮かぶ空には、普段は地上の光のせいで視認出来ない星々がその身を寝かせており、久しぶりに見たせいか、とても幻想的に思えた。
「法城」
大河内はやや掠れた声で黄緑パーカーの名を呼ぶ。「なに?」と聞き返す彼に、夜空に向かって言葉を吐き出した。
「星は死んだ人間の魂が光ってるって聞いたことがあるんだけど、僕らがこれまでで輝いていた瞬間ってあるかな」
「難しい質問だね」
法城が隣で唸っているのが分かる。やがて呟いた答えは、とても簡単なものだった。
「俺ら、輝いてんじゃん。この街で」
「どうやって?」
「殺し屋がうじゃうじゃいる横浜で、俺らは生きてる。つまり俺らは黒い光を街の裏側に向かって放ってるのさ」
胡散臭さと無駄なカッコよさを混ぜたその言葉に、大河内の方が恥ずかしくなってしまう。「黒い光、ね」と嫌味たらしく言ってやると、法城はそれに応えた言葉を出さずに言った。
「そう。表側の連中は基本的に健全だから、この世から消えても夜空に白く輝いて映るんだ。でも俺達みたいなのはやってることがクソだから、例え死んでも空に浮かび上がりはしない。黒い光は夜になっても誰にも見えないからね」
暗闇の中で静かに話す法城は、どこか達観した声でやがて言葉を終わらせた。
「じゃあ、生きてるうちに禍々しい黒を輝かせればいいじゃん。この街の平穏を塗り潰すくらいにさ」
辺りに再び閑散とした空気が吹き戻り、大河内は吐息を漏らすと、胸の奥底で一言唱えた。
――なら、死ぬまで付き合ってもらうよ。この下らない殺し合いに。
――黒い光、輝かせようじゃないか。
大河内は闇の中で顔に微笑を浮かべ、右手に収まる拳銃を強く握りしめた。嵌められているのなら、打ち返せばいい。逆に自分が有利な立場にいるのならば、徹底的に潰せばいい。もう答えは一つしかない。
彼の中で一つの意志が定まった瞬間だった。
*****
敵を指示された位置に誘導させ、ヘヴンヴォイスは曲線が描く一本道を見渡せる小さなオフィスビルの屋上に立っていた。この辺りは基本的に住宅が密集している地域なのだが、閉じた商店や外装が手入れされていないビルなどの放置された建物があちこちに点在している。彼らがいるのもその一つだった。
前方にはほとんど漆黒に包まれた大きな校舎が鎮座し、閉業した病院を連想させる。夜の冷たい風を浴びながら、ミルは静かに視線を眼下へと移した。
街灯が明滅する黒に近い一本道に、窪みのような形で作られたゴミ置
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