例外
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ろからの神父の言葉が俺の足を止める。しぶしぶ神父の方へと振り向く。その時の神父の顔はさっきより笑みが広がっているように見えた。
「なぜそう急ぐ?」
「あなたには関係ないです」
「そうはいかん。私はこの聖杯戦争を取り締まる立場にある。なるべくお互いがフェアにそして存分に殺しあえる環境を提供するのが私の役目だ」
そう言いながら神父はこちらに近づいてくる。ちゃんと確認した事はなかったが、神父の身長が思ったよりも大きく、圧倒された。
「…………」
「ん?」
その時、神父が何か違和感を感じたらしい。顔を少し歪め、死んだ目で何かを見つめる。少し時間が経つと、何か納得したのかフッと笑みを広げた。
「なるほど」
「………?」
何がなるほどなのか俺にとってはよく分からない。しかし、ただ言えるのがこの神父はこの状況を愉しんでいる。
「この戦いではサーヴァントが鍵を握る。矛、盾、全ての役割をする。だが、戦いは常に例外が発生する」
神父の言ってることがさっぱりだった。俺に何か伝えたくてそう言ってるのかそれとも俺をからかって遊んでいるのかさっぱりだ。
「簡潔に言うと、今の戦い方を変えたまえ」
この神父は何が狙いだ?神父の意味深な言い方に俺は警戒心を覚えた。そんな俺を見てか神父は溜め息を吐いて、言い直す。
「君の求める戦いとはそういうものなのかね?」
「それってどういう意味ですか?」
「そのままの意味だ。少年よ、今いる立場はいい気分だろう。常に守られ戦わず、サーヴァントが傷つき倒れる様を傍観している様は」
「ッ!?」
神父の発言に頭に血が上りそうになった。拳には力が入り、この男に一発かましてやりたいと心から思う。
「それが嫌であるなら考えたまえ。君に何ができるのか」
神父はそう言うと、くるっと踵を返した。
「では私はこの辺で行くとしよう。君も行く所があるのだろう?早く行ったらどうだね?」
そう言って、神父は歩いて行った。
そして今に至る。
俺の求める戦い……あの時は色々と不運が重なって浮かばなかったが、今になって俺なりの答えが出てきた。
しかし、その答えは他から見たら余りに無謀で命知らずな考えだ。それを思いつく自分もどうかと思うが、実行するなんてよっぽどの死にたがりか自信があるやつだけだろう。
ギュッと両手を握りしめた。
「セイバー」
「なんだマスター?」
カーテン越しからセイバーの声が返ってくる。
言おう。セイバーも傷が癒えたとはいえ完全ではない。完璧な状態ではないのだ。これからどうやって戦っていくのか二人で話さなくてはいけない。
俺は覚悟を決め、口を開い
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