マフラー
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食べた。食べ終わると理はスーツに着替え出社した。健児は朝の部活があるとかで早くに家を出た。
「そういえば健児君って何部だったっけ」
「バスケットボール部よ」
晴美が答えた。
「あれでもレギュラーなんですって」
「へえ、そうなんだ」
もう三年が引退して受験に専念している時である。不思議ではなかった。だがそれでもレギュラーというのは意外だった。
「そういえば意外と筋肉質だったな」
先程の最初に降りて来た時の事を思い出していた。
「特に脚なんか」
そこでぱっと我に返った。
「やだ、わたし何考えてるんだろ」
顔が真っ赤になる。慌てて首を横に振る。
「どうしたの?秋穂」
晴美が不思議そうな顔をする。
「な、何でもないわ姉さん」
何かを必死に隠しているように見える。それが晴美には妙に見えた。
顔を洗い歯を磨いた後秋穂は暫く自分の部屋でテレビゲームをしていた。恋愛シュミレーションである。
攻略本を見ながら漠然とゲームをしている。女の子が男の子に告白するゲームだ。
「本見ないと判らないよね、こんなやり方」
本をちらちらと見ている。秋穂が狙っているのは主人公の幼なじみの黒髪の少年だ。
「この子攻略したら次はこの子にしよっと。」
ふと本を見る。そこには主人公の従兄弟の少年がいた。
「そういえば従姉弟だと結婚出来るのよね、あまり実感わかないけれど」
秋穂はふと考えた。
「親戚でも結婚出来るのよね。例えば」
ふと健児の事が頭に浮かんだ。
「な、何考えてるのよわたし」
慌てて健児の事を頭から消した。
「叔母と甥は結婚出来ないじゃない。それに相手は中学生よ、まだ子供じゃない」
どういうわけか自分に語りかけているようだった。
「・・・何か変だな。下着姿見ただけで」
秋穂の父は娘の前では絶対にそんな姿にはならなかった。実の娘とはいえ女の子にそんな姿を見せるのは教育上良くないと考えたからである。
「水着とかなら体育の水泳の時間にいっぱい見たけれど」
水着とは違った印象を受けた。何処か艶めしく感じるのだ。
「・・・学校行こっと。サークルに行って汗でもかけば変な気持ちも治まるだろうし」
ゲームを終え秋穂は身支度を始めた。化粧はしない。唇荒れを防ぐリップクリーム位しか持っていない。カバンにテキスト等を入れ部屋を出た。
今日は午前の講義の後映画研究に顔を出し午後はソフトに行った。サークルが終わった後シャワーを浴び着替えて帰路についた。もう夕方だった。
「雪が降らなかったらいいけど」
沈み暗くなっていく空を見ながら言った。空は厚い雲で覆われていた。
秋穂は雪が好きで
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