マフラー
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君」
秋穂の甥で春美の一人息子健児である。秋穂より五歳年下の十四歳、中二である。
晴美が結婚してすぐ生まれた子である。あまりにも結婚からすぐ生まれたので今で言う出来ちゃった結婚じゃないのかと皆噂した。
髪は黒い。父親の方の髪である。今時の中学生らしく普通に伸ばしている。
顔立ちは何処か細い。細いが母親に似て整った顔立ちである。二重の黒い眼が印象的である。肌は白い。
背は高い。同じ年代と比較してもかなり高い方であろう。175は越えている。その為小柄な秋穂だと見上げなければならない。
白いセーターとクリーム色のスラックスを着ている。白系統でまとめた大人しい出で立ちである。
「面白い漫画無い?僕が読むような」
ぶっきらぼうに聞いてきた。高めの声である。
「健児君が読むような?えーーーと・・・・・・」
秋穂は部屋を探し始めた。
「ちょっと待ってね」
「うん」
言われた通り健児は部屋の前で待っている。
秋穂の漫画の趣味は実に女の子らしい。少女漫画ばかりである。少年向けの漫画は殆ど読んだ事が無い程である。だから健児の好みに合う漫画があるかどうかとても不安であった。とりあえず何冊か手に取り健児に見せた。
「男の子の趣味はわからないから・・・ちょっと選んで。悪いけれど」
「うん」
健児は一冊一冊手に取ってぱらぱらと読んでみた。ふと一冊の漫画に目を止めた。それは中華風のファンタジーものであった。
「これにするよ」
「それでいいの?」
「うん。面白かったらまた貸して欲しいんだけど」
「いいわよ」
秋穂は微笑んで答えた。
「ありがと。じゃ僕はこれで」
健児は挨拶をして出て行った。隣の部屋のドアが閉まる音がする。
「健児君ってあの漫画が好きだったんだ」
少し意外だった。今まで健児が買う漫画といえば少年漫画ばかりだったのだ。格闘シーンや熱血ものばかりであった。男の子らしいと言えばそれまでだが。
「そういえば健児君ってあのキャラクターに似てるかな」
それはヒロインの恋人の少年であった。腕が立ち格好良く少し陰のある少女漫画にはよくあるタイプの少年であった。自分の甥とはいえかなり美化し過ぎと言えなくもない。実は秋穂の一番のお気に入りのキャラでもある。
「まあ言い過ぎかな。誉め過ぎても駄目ね」
くすっと微笑んで秋穂はクッションの上に座り漫画を手に取った。そして一冊ずつ読んでいった。
翌日の朝秋穂は六時に目を覚ました。特に早起きというわけではないがどういう訳か目覚めてしまったのだ。
「まだ六時か。けど二度寝するのも何だしなあ」
パジャマを脱ぎ着替えた。ピンク系のブラウスを着えんじ色のスカートをは
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