マフラー
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」
「秋穂なら引っ張ってくれる人かなあ」
真由美が相槌を入れた。
「年齢もあるけどね。年上、同じ歳、年下」
「これは完全に人それぞれね」
「とし、した・・・・・・」
秋穂の脳裏にふとある少年の顔が浮かんだ。秋穂の顔が急に真っ赤になった。
「・・・どうしたの?急に赤くなって」
百合は少し驚いた。
「な、何でもないわ」
秋穂は必死に否定する。
「誰か好きな人でもいるの?」
真由美が尋ねた。
「べ、別に」
「じゃあいいけど。もしいたら思い切って告白しちゃいなよ。大丈夫、秋穂なら皆放っとかないって」
「うん・・・・・・」
この時秋穂は自分の気持ちに気付きはじめていた。
数日後秋穂は部屋で掃除をしていた。クローゼットの部屋なので時々掃除をしないとゴミが目立つのだ。
本棚も整理する。アルバムを手に取る。
「ちっちゃい時のアルバムね」
ふと中を見てみる。そこには幼い頃の秋穂がいた。
両親もまだ若い。晴美がまだ小さい秋穂を抱いている。
「こうして見ると確かに親娘だな、わたしとお姉ちゃんって」
健児もいる。赤ん坊であるが。
「健児君のもこんな時があったんだなあ」
少し微笑ましかった。子供の頃はよく遊んだ。秋穂がお姉さん替わりだった。
「わたしの好きな遊びにばかり付き合わせてたな、今思うと」
秋穂は何をやるにしても女の子らしい遊びしかしなかった。ソフトボールにしても憧れていた先輩がやっていたのを見た事が始まりだった。身体を動かすにしても女の子らしいものばかり選んでいた。
「健児君ってあの頃から男っぽい遊びが好きだったしね。いま思うと悪い事したなあ」
アルバムをめくっていく。ふと一枚の写真が目に入った。
「これって・・・・・・」
まだ子供の秋穂が赤ん坊の健児を抱きかかえている写真である。寝ている健児に秋穂が頬を摺り寄せ笑っている。
「何か私ってお姉ちゃんみたい」
写真を見てぽつりと言った。
「頬擦りなんかして。ここまで来るとお人形抱いてる子みたいね」
ふと何気無く一言出た。
「今こんな事出来たらなあ」
自分の言った言葉の意味に気が付いた。アルバムを抱いて俯く。
「何言ってんだろ、私」
もう自分の心を偽る事が出来なかった。
「どうして私、健児君の叔母さんだったんだろ」
そう思うと自分がこの家の娘に生まれた事が恨めしかった。
「他の娘だったら健児君に言えるのに」
思っても仕方無い事は秋穂自身が一番良く解かっていた。だが思わずにはいられない。そしてその想いに胸が押し潰されそうになる。
「どうしたらいいんだろ、私」
秋
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