外伝:ブルハ、ブルハ以外を歌う
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「うーん、なんとなくお兄ちゃんって呼びたかったから!ほら、ALOはALO、現実は現実で違う選択をしたかったっていうか!」
「違う選択、ねえ」
俺は、今日に見た奇妙な夢を思い出して少し考え込む。
同じ場所を目指して違う道を辿ったあの俺。ユウキと木棉季もまた、辿る道は違えど目指す場所は一緒なのだろう。
ただの夢でしかないはずの「成功した俺」は、ユウキの事を「俺が助けた子」だと言った。
彼女が助かったのは、彼女が奇跡を起こしたからだ。俺はただ単に偶然出会って、未来が誰の手に握られているのかを自分なりに答えただけだ。
そんなちっぽけな選択だけで、奇跡の有無というものは変わるものなのだろうか?
我ながら突拍子もことを気にするな、と思いながらも、俺は木棉季に質問した。
「木棉季、お前は俺と出会わないことで今と違う道を歩んだ自分がいたとしたら、そいつのことを羨ましく思うか?」
「……?それってどういうこと?」
「あー……そうだな。例えばだけど、俺と出会わない代わりに別の大勢と友達になってる自分がいたら、お前はその自分をどう思う?」
「友達たくさんの代わりにお兄ちゃんがいない……うーん……」
しばらく目を閉じて散々唸りながら考えていた木棉季は、やがて顔を上げて俺にこう言った。
「じゃあ、今からお兄ちゃんと一緒に友達増やす!それで解決するから羨ましくない!」
「…………こいつめっ」
「わわっ、ちょっとお兄ちゃん?なんで急に僕の頭を撫でるのさ?」
「撫でたいからだ。ダメか?」
「……………いいよ?」
感謝を込めた俺の掌を、木棉季は少しうつむきながらも恥ずかしそうに了承してくれた。
失ったものは取り戻せない。
でも、まだ持っていないだけなら今から見つけに行けばいい。
そんな簡単なことさえ気付かない自分に道を示してくれる人間は、得難いものだ。
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