第九話 懐かしい夢
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姉ちゃん…』
掠れた声に反応して、ジュンが大輔の方を向いた時、そこには、恐らく爆発によって飛んできた破片に当たったのだろう。
頭から血を流して、痛みに泣きじゃくりながらジュンに手を伸ばした大輔。
ジュンの身体から血の気が引いていく。
このままでは弟が死んでしまうのではないかと、ホイッスルの音が聞こえたが、ジュンは構わず、大輔を背負って外に出ると、必死に助けを求めた。
やがて時は流れる。
光が丘テロ事件と名付けられたその事件により、お台場に引っ越すことになった本宮家である。
ジュンと大輔にとっては、あまりにも衝撃的な事件だった。
ニュースを聞いて飛んで帰ってきた父が見たのは、見るも無残な惨状と化した我が家。
怪我をした長男を背負って必死に助けを求めている長女である。
大輔の怪我は跡は残るものの、命に別状はなかったが、ジュンの心に深い傷が刻まれた。
しかし大輔は対象的に光が丘テロのことは一切覚えていなかった。
どうして怪我をしたのかも、どうして光が丘からお台場に引っ越した理由も。
その事実はジュンを苛立たせた。
自分はそのことを忘れられないというのに、大輔は簡単に忘れたことを。
この日から、本宮姉弟の不仲が始まった。
大輔「っ!!」
フェイト「きゃ!?」
大輔を起こそうとしたフェイトだが、いきなり起き上がった大輔に驚く。
大輔「はあっ…はあっ…!!」
息を荒くし、汗をかきながら辺りを見回す。
大輔「夢…?」
フェイト「大輔、大丈夫?」
ブイモン[顔色悪いぞ大輔?]
大輔「…そ、そうだ……俺は…7年前に…光が丘でグレイモンを…」
頭を抱え、胸元に金色の光が灯り始めた。
アルフ「大輔!?どうしたんだい!!?」
明らかに普通ではない大輔に、アルフが大輔の肩を揺する。
フェイト「大輔…?」
大輔「痛っ…!!」
大輔が両手で髪をくしゃくしゃにすると古傷が露になる。
今まで忘れていた過去が凄まじい勢いで溢れてくる。
そして、最後に、意識が朦朧となる直前、グレイモンの近くにいた二人の子供…太一とヒカリの姿が脳裏に浮かんだ時、痛みから解放された。
フェイト「大輔…大丈夫?」
大輔「…ああ」
答えた大輔の顔は途方に暮れた子供のようだった。
今まで見たことのない大輔の表情にフェイトは胸が締め付けられるようだ。
大輔「…何で忘れていたんだろう。姉貴が…姉ちゃん、あんなに泣いていたのに。姉ちゃんを守ろうって病院で誓ったはずなのに…」
ブイモン[大輔…?]
フェイト「お姉さん
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