プロローグ2
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るで違うのは当然である。
加えて言えば、魔法使いの主な影響はアメリカ圏に集中している。他の地でも影響力がない訳では無いが……中央にまで届くほどの力は持っていない。規模は大きくとも、裏の世界では新参勢力の一つでしかないのだ。
近右衛門が、疲れたようにため息をついた。魔法関係者に、だけではないだろう。それだけ、今回の件でもめているに違いない。
「とにかく、今回の件は決定事項じゃ。細かい取り決めは決定してから追って知らせる」
わずかに緩む空気、その中を、静かな裂帛が通り過ぎた。思わず背筋に寒気が通り、正面を見る。老いてなおその力を衰えさせない魔法使い、近衛近右衛門。凍り付く空間に、最後の一差しを放った。
「くれぐれも、軽挙妄動はせぬように。そのときは、オコジョの刑に処するまでも無く、ワシが介錯してくれる」
言葉に、僅かな偽りも感じられない。視線を交わらせてもいないのに、眼光に貫かれた気がする。
「以上で解散する。それぞれ通常業務に戻るように」
それで動ける者など、殆どいなかった。
あの後すぐに、刹那は学園長室に呼び出された。
重厚な扉を叩こうとして、思わず躊躇する。いつもであれば、躊躇いなど出てこないはずの行為。しかし、あの瞳を見てしまった後では、どうしても体が居竦む。
震えそうになる体をなんとか制して、軽く二度、ドアを叩いた。その動きは、期待した程度にはいつも通りであり。内心の怯えを抑えられた事に、密かに安堵した。
「入ってきなさい」
「失礼します」
返答を待って、ドアを開ける。正面に座る学園長は、やはりいつも通りの雰囲気だ。睨まれる事が無かった当たり前に感謝する。
「うむ、これで全員揃ったの」
室内にいたのは、見知った人間ばかりだった。龍宮真名、葛葉刀子、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル、そして高畑・T・タカミチ。誰もがよく知った人間だ。やや早足でいつもの位置――刀子の隣に直立し、近右衛門の言葉を待つ。
話が始まるのか、と思ったが、その前に小さなため息が聞こえた。近右衛門からだ。大講堂での印象があり気付かなかったが、酷く憔悴している。強烈な圧力を放っていた先ほどの人物と、同一だとはとても思えない。
「メンツを見てもらって分かると思うが、来てもらったのは魔術師、衛宮士郎についてじゃ」
その名前が出た瞬間、エヴァンジェリンがとても嫌そうな顔をした。いつも大胆不敵、ともすれば傍若無人でプライドの高い彼女に珍しい表情。思わず目を丸くしたのは、刹那も隣の刀子も同じだった。
「それで、いきなりですまぬが、衛宮士郎の対応には、刹那君と刀子君、二人に対応してもらいたいのじゃ」
「私はかまいませんが……高畑先生ではなくてですか?」
刹那
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