暁 〜小説投稿サイト〜
横浜事変-the mixing black&white-
信じる道が茨だらけの通過点であることに殺し屋達は気付かない
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た。

 「あいつらの一人が誰かに電話してたわ。その中に不穏な話が出たりしてたから、恐らくあいつらにはバックがいるわね」

 「不穏な話?」

 「そう。例えば『ヘヴンヴォイスの方は異常ないですか?』とか」

 「!」

 「赤島さんの仮説は、またしても的中したみたいね」

 「……俺、探偵にでもなろうかな」

 宮条の言葉につられたようにして呟いたのは当の赤島だった。彼は周りを覆う惨状に引きつった顔を浮かべ、それから目を擦りながら言った。

 「今から本部の奴に裂綿隊の奴らの居場所を突き止めてもらう。俺らの仕事はまだ終わっちゃいねえ」

 赤島はポケットから携帯を取り出してワンプッシュで本部に発信した。数秒経って、彼は電話の向こう側にいる人間に事情を話した。

 「……そうだ、こっちは2人やられたが心配ない。敵の追跡、アンタらなら出来るだろ」

 八幡や大河内とは違い、ぶっきらぼうな口調で話を進める赤島。やがて通話が終わったのか、彼はすでに覚醒していた仲間達に向かって声を張り上げた。

 「敵は――」

*****

 その頃、ヘヴンヴォイスの乗るバンを追っていたチームCは横浜の中心から遠ざかる道を走っていた。現在は山下埠頭のある横浜湾から横浜の奥側に入る大通りを走行しており、敵との攻防は一進一退というところだった。

 「あいつら何考えてるんだろうね。全部違う道使ってたけど、これまで追いかけっこしてたのって中華街とかマリンタワー付近ばっかじゃん」

 法城が呆れた顔で愚痴る。だがそれはチーム全員が心中で唱えていた疑問だ。

 運転を務める大河内はバンの速度を上げ、二車線になったところで敵のバンと再び並列走行を始めた。すぐに法城らが銃を構え、相手のバンに向かって攻撃する。しかし先程からどれだけ銃弾の雨を降らせても、バンの装甲が破ける事は一度もない。むしろこちらの被害の方が大きいだろう。

 これでは二の足だと考えた大河内は、速度はそのままにハンドルを左に切った。当然タイヤはその動きに従い、車体を左に揺らし、敵のバンと衝突した。

 ドゴン、という鈍い音と敵のバンがガードレールにぶつかった音が反響し、後方から通行人の悲鳴が聞こえた。大河内は一度スピードを緩め、再び追随する形を取った。

 「ちょ!お前何してるんだよ」

 法城が後部座席から文句を言ってくる。が、その声に危機感は全く感じられない。大河内としては相手がこのあとどういう動きを取るのかが気になったのだが――

 ――さすがにこの程度じゃ動じないか。

 だが、あまり公になる事はしたくない。これまで日の当たらないところで生活してきたせいか、今の突飛な行動も覚悟を決めた。しかしロシアからやって来た彼らには、肩と肩
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