次へとつながる予感
[3/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
グラトニーは光も音も、そして揺らぎも無く消えていった。
・
・
・
・
・
次の日の朝。
幸い傷は粗方治った為に、グラトニーは瀧馬へ戻っていた。
自分の左手を見つめたまま、瀧馬は静かに溜息を吐く。もう何度溜息を吐いたか、数えきれなくなっているのを瀧馬は感じていた。
『お早うさん相棒。早く学校行こウゼ』
「あのな? まだダルさが残ってんだが?」
『何言ってんダヨ、俺はあいつ等の反応が見たくて仕方ないんダヨ』
「……観束と津辺か」
昨日の来た事を瀧馬は大まかに説明してもらっているので、自分が気絶している間に起こった珍妙な出来事も当然知っている。
……その説明の中には、ラースの因縁やサーストの恨み、嫌な予感などは入っていない。
まだ話すには早いと、ラースがそう判断したからだ。最悪、何も話さず別れるという可能性も、頭に入れている。
のっそりとか眼もかくやと言う遅さで起き上がった瀧馬は、いやいやながらもテレビを付けニュースを見始める。
今朝のニュースで流れていたのは珍しくテイルレッドでは無く、山に起きた大規模と小規模の自然破壊の事であった。
勿論の事ながら、大規模な方がグラトニーVSサーストの痕跡である。
「エラい騒ぎになっているかとも思ったが……割と何時も通りか」
『寧ろこの戦いを行ったテイルレッドの勇姿を見たかッタ、って感想ばっかりヤネ。マジでいつもとかわんねェナ』
もうマスコット扱いからは抜けられなさそうなテイルレッドが愛嬌を振り撒くせいか、それともアルティメギルが小騒ぎ程度しか起こせないふざけた世界征服宣言を行ったからか……いずれにしろ、充分に危惧しなければいけない問題を、自然が減ってしまって残念だという事で片付けてしまっている。
ソレを見て嫌な予感を感じていたラースはより一層不安になって来ていた。対する瀧馬はもう来ないと言われたからか、久しぶりに能天気で気楽な事を……実は考えていなかった。
(ラースはああ言ったが……何か隠している可能性は拭えない。仮にサーストはもうやって来ないとしても……単純感情のエレメリアンがもう来ないとは限らねえ……)
上手く隠せてすらいない、ラースをガッツリ疑っているようだ。その疑いが敵味方ではない辺りは、信頼は一応の置ているのだろう事は……窺えるが。
パンの欠片を口に頬り込んで次のパンが入った包装を破りながら、本当に久方ぶりな真面目なニュースの流れるテレビを、瀧馬は黙って咀嚼しながら見続ける。
そして時間が来たのを確認して、制服に着替えて玄関から出た。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ